遅めの昼ご飯に出ているとき、私の携帯に見知らぬ番号の電話が入った。知らない番号からかかってくるときは大抵間違い電話だから、ふだんならそのまま黙殺する場合が多いが、今日は虫の知らせじゃないけれど、すぐに出てみた。電話の相手はぷみぷみだった。
「お母さん、あのね、鍵がないの。」
今どこにいるの?
「Mさんち。」
・・・・鍵がない、といえば、1学期には、学校に鍵を持っていくのを忘れて、担任の先生、学童の先生、ピアノの先生まで巻き込んで大騒動があったっけ。 ふだん、鍵はバネ状の紐がついたキーホルダーにつけてランドセルにくっつけてある。が、前の日、お友達の家に遊びに行くのに外出用の鍵が見つからず、ランドセルの鍵をはずして持ち歩き、戻すのを忘れていたのだ。 思い起こせばその日、私は忙しかった。携帯電話なんてとれる状態ではなかったのに、学校が終わってすぐぐらいの午後2時頃に担任の先生から携帯に電話。当然留守電になる。 「ぷみぷみさんが鍵を忘れてきたと言っています。連絡お待ちしています。」 そのすぐ後にまた担任の先生から電話が入っていて、今度は 「学童クラブで預かってもらうことにしました。今学童にいますのでお母さんから学童クラブに連絡を入れてください。」と録音されていた。 次の電話は3時過ぎ、学童クラブの先生からで、やっぱり留守電。 「ぷみぷみさんが今日ピアノのお稽古日だというのですが、鍵が無くて家に入れません。今はまだ学童で遊んでいます。連絡下さい。」
これらの留守録に私が気付いたのは4時を回ってからだった。あわてて学童に連絡を入れて、学童クラブを退会したにもかかわらず預かって頂いて本当に申し訳ないと平謝りに謝り、とにかく、学校からピアノの先生の家に直行させるようお願いし、そして、すぐにピアノの先生に連絡を入れて事情をお話すると、私が帰るまで預かってくださると快くおっしゃって頂いたので、ピアノの先生にも平謝りでお願いし、定時に会社を飛び出して保育園経由でピアノの先生のお宅に行きぷみぷみをピックアップ、無事家に帰り着いた。 その夜、ぷみぷみは私から超特大雷を落とされたのは言うまでもない。 『ランドセルの鍵は絶対はずさない。外に遊びに行くときは外出用の鍵を持っていく。もし外用の鍵が見あたらなかったら、たとえお友達とお約束していても行っちゃダメ!外出禁止!!』とそのときに、ぷみぷみとは約束したのだった。
今日は朝9時から学校のプールに行き、そのときは外用の鍵を持って出かけたのに、帰ってきたら鍵が無かったという。きっと更衣室かどこかで落としたに違いない。しかも、プール帰りにお友達の家まで行き(本人曰く、お友達を送っていった)帰り道で 近所で保育ママさんをしているMさんと子供たちに会ったので、子供たちと少し遊び、昼過ぎにやっと自宅に戻ったら、鍵がないことに気付く。午前中塾、午後は学校でプールのユイマと行き違いになってしまって、家には鍵を開けてくれる人はいない。困ったぷみぷみは、さきほど別れたばかりのMさんのおうちに行ってSOS。Mさんの携帯を借りて私のところに連絡してきたのであった。
Mさんはとても親切で、いろいろとお手伝いしてもらうから、全く構わない、お昼もそこらにあるおにぎり程度ですが食べさせてもいいですか、とまでおっしゃってくださり、全くもって有り難いことこの上ない。ランチタイムのレストランのなかで、頭を下げて電話を切った。
家に帰ると、Mさんからの手紙をぷみぷみは持ち帰っていた。「今日はぷみぷみちゃんにすっかりお手伝いしていただきました。子供達も大喜びです。またいらしてください」 きっと、私がぷみぷみを叱らないようにと心を砕いてくださったのだと思う。すぐにMさんにお電話してお礼を言ったあとは、ぷみぷみのことは叱らず、Mさんのところでどんなお手伝いをしたのか、話を聞いた。そして、鍵を無くしたのは一大事なので、明日以降、学校にもう一度探しに行こう、と約束した。
ご近所にこんな風に助けてくださる方が大勢いて、私もぷみぷみも本当に幸せ者だ。
それにしても。
今回もまた、周りの人を巻き込んだぷみぷみ、サバイバル能力高!
| |