蛍桜

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Raining8
君は最期に僕に手紙を残した。ほとんどが読めなかったけれど、途切れ途切れの言葉たちが、僕に伝えたいことは分かった気がする。君は何度もゴメンと書き殴った。たまに目に飛び込んでくるその言葉が、あまりにも悲しすぎたよ。
君は最期まで、僕のことを好きだとは言ってくれなかった。それでも、一緒にいる時間は楽しかったかい?君が重荷に耐え切れなくなってつぶれてしまったとしたら、僕はどうしてその重荷を背負ってあげれなかったのだろう。君の最期は、君らしい最期だったね。病気で死ぬなんて、君には似合わない。意地っ張りで、強がりで、プライドの高い、君だから。
あんなに泣いて、あんなに笑っていたのに、今、君はどこのいるの。僕のことを置いて、どこへ行ってしまったの。君がいなけりゃ誰に暴言を吐けばいいのさ。君がいなけりゃ誰に会いにいけばいいのさ。

君の親は、泣いてなんかいなかったよ。強い、強い母親だった。君はきっと、そんな母親に似たんだろうね。彼女はこう言ったんだ。
「ミキと一緒にいてくれてありがとう」

僕は、君に、何をしてあげれたかなぁ。
君は、僕に、生きる力をくれていたというのに。

桜が咲き始めるころ、君は海の泡となった。きっと。
誰もいない、冷たさが残る海に、君は全ての想いをのせたんだね。

君と一緒に居ることが出来て、よかったよ。でも、君はどうだろう。
ごめんね、を言うのはきっと僕のほう。

君のあの笑顔がまぶしくて、あの二人で上った坂道がくるしくて、僕たちに残されたのは思い出だけで。何も知らないから、人は言うんだ。
「あの子、何考えているか分からなかったよね」
「おまえ、変なのにひっかかってたんだよ」

それでも、負けない。僕は君が好きだから。
周りから見て、どんな関係だったかなんて知らない。結局僕は君の彼氏にはしてもらえなかったし、君を僕の彼女には出来なかった。それでも。僕は君が好きだから。散々暴言を吐いて、君を苦しめたけど。でも。

君と同じ海に沈みたい、と願った。
君を、逃がすものかと、強く誓った。

2006年08月07日(月)

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