蛍桜

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一隻の船で

何もかもが全て
真っ白になってしまったなら
この気持ちさえ忘れてしまうのか
そうだとしても もう一度
この気持ちを探し出すことは出来るかもしれない

ところかまわず泣いてみても
聞こえてくるのは 自分の叫びだけ
冷たく凍った空気を吸うには
少しまだ 力が足りない

とりあえずと歩いてみた道は
何もなくて寂しさ覚えた
それでも足跡は増えていくばかりで
意味を考える暇さえなかった
雨が降って風が吹けば
何事もなかったように真っ白に
そしたらまた0から数える

挫けてしまうのは
挫けようとしている自分がいるから
まだやれると言い聞かせる元気があれば
自分で道を作る勇気を養うよ
流され流れて辿り着いた岸辺には
船など停まってなくて
たった一隻 自分の乗ってきた船だけ
それさえ流され流れて
残されたのは 名もない場所
島なのか 森なのか 最果てなのか
それさえも分からず彷徨う

そうね たとえば色でたとえるならば
それは真っ白だった

手探りで 何かを探しても
見つけたいものなんてないから掴めなかった

ただこの薄くかかった霧の向こうに
かすかに見えるのは
みんなの幸せそうな顔なんだね

それを遠くから眺めながら
ふと笑っている自分に気づく
どうして自分は船に乗って
ここまで来てしまったのだろうね
降り積もる花びらは何色でしたか

霧の向こうのみんなは
この名もない場所の存在さえ
知らないであろうに
この場所に存在する
この1人の人間の名さえ忘れただろうに

気づいてくれないと分かっていても
大きく手を振って名前を叫んだ
私を好きだと言ってくれた人
私を支えてくれた人
片っ端から叫んだ
誰も気づいてくれないと自分に釘をさしても
何度も何度も読み続けた
今したいのはそれくらいしかないから
今しなきゃいけないことが分からないから

私たちが出会ったときに
積もっていた花びらはきっと
真っ白だったのだろう

今はもう何色にも塗れない
透明な花びらが今ここにある
見えない花びらが今ここにある
2005年12月05日(月)

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