| 蛍桜 |
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| 病院つながり |
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やばいなぁって思った 私は私が好きだった めちゃくちゃ好きすぎた そのことにいまさら気づいた 私がお年寄りとか、障害者(ってまとめていいものか)とかに 苦手意識を持っているのは うざったいとか、そういうんじゃなくて どんな目をして、会ったらいいのか分からないから どんな目をして、何を言ってあげたらいいのか分からないから きっと私、どこかで「かわいそう」って思ってる そんな目を見透かれたくなかったから 母のダーリンは左半身が麻痺していて 私はその姿を、最近、初めてみた ママダーリン(笑)は私に話しかけることはなかった 私はママダーリンに話しかけることはなかった 目を合わせることもなかった 母と彼が会話をしている間、私は母の後ろから動かなくなった手と足を 少しだけ隙間から覗いた それから、窓の外をずっと眺めてた 30分くらいずっとそれを繰り返して二人の会話を聞きながら 泣きたくなった かわいそうだって思った 見てられなかった 母が帰ると言い、出て行くときに私は一言も言わずに出て行こうとした だけど、最後に彼が「ありがと」って言ってくれた 私はママダーリンの顔をそのとき、正面からまっすぐ見た 初めてだった 「あい」 めちゃくちゃ笑顔で言った それは不自然だったと思う 母は笑ってた 不自然さが分かったからだろうけれど 私はもう二度と、会いにいきたくないとおもった 動かなくなった手と、足と、半分だけ動かない顔と 何かしてあげたいとは思った お腹がすいたなら、何か買ってきてあげよう、そういう気持ちになった だけど、彼はそういう気持ちなんていらないだろうと思った だから、もう会いたくないと思った 私は同情しかしてあげれない かわいそうだとしか思えない だからお年寄りも障害者も彼も 嫌いだ 大丈夫?、って声をかけたら失礼かもしれない 何かしてあげようとしても、本人は自分でしたいのかもしれない 私は何も分かってあげれない だからかかわりたくない 自分が惨めになるだけだから でも母には、彼についていてほしいと思った ずっといてほしいと 母のことを、彼の家族は知らないから、頻繁にはいけないけれど もし可能ならば、毎日でも居てほしいと思った 母はお年寄りも、障害者も、どう接するのか知っている そういう仕事をしているから、知っている 笑っている 私にはそんなこと出来ないから 出来る母がうらやましいから 少し悔しいけど、でも、でも母にはダーリンの傍にいて笑っていてほしい 私には出来ないことだから だけど、少し考えた というか、母のダーリンが、彼に似てると思った 一途に見てくれているところとか、ね だから考えた もし彼が同じようなことになっても 私は出来る限り傍にいたいと思った たとえ、こうやってかわいそうだとしか思えなかったとしても 同情しかしてあげれなかったとしても、居たいと思った 居てあげたい、じゃなくて居たい、って思った それから、少し悲しくなった 母は、隠してはいるけれど、ダーリンのことすきだ、って 本気なんだ、って分かった気がする いつもちゃらけてみせるけど、母は、私に似ていると思った 違うね、私が似ているんだけれど やっぱり私のお母さんだと思った 大好きだと思った 私が入院していたときのこと思い出した 入院中に、手術した後だったのだと思うけれど母が怒って 何日か来なかったことがあった 毎日来てくれていたのに、私が何か我侭言って来なくなった あぁ、また捨てられたのかな、なんて今になれば思ってたかもしれない 別に悲しくなんてなかった あぁこないなぁって程度で 罪悪感なんてなかった でも、夜は涙が出た 何回もナースコール鳴らしてた 迷惑だっただろうに 数日して、一番上の姉が訪れてきた 「なんでお母さんが来ないのか分かってる?」 姉はそう言いに来た 私は分からない、と答えた さあ、って程度で その後は何を話したのかは覚えていないけれど母はまた訪れるようになった ・・・んだと思う、私の記憶の中では、、、 手術をする前に、6人部屋から、4人部屋に移ったことがあった その4人部屋の横は、重い病気の子たちがいる部屋だった どうやら大きな部屋を区切ったらしく、二つの部屋の間には 大きなカーテン(硬いやつ、名前分からないけど)が引かれていた 私はちょうど、そのカーテンの横にベットがあった 昼間は気にならないけれど、夜中、静かになって寝ようとすると 機械の音が聞こえてきた 心臓のやつの音だったと思うんだけど その音がたまらなく怖かった 少しだけ、カーテン(みたいなの)の隙間から見える光と、機械を見て この機械の音が、止まったらどうしようって考えてた 眠れなかった 私が手術をした後に、私はご飯を食べるのが難しくなった 喉と、鼻のほうの手術だったから、食べるたびに痛い 飲み込むたびに痛い ちょうどそのときが、母が来なかったときだった 手術が終わった直後、私は「いたい、いたい」って泣き喚いてた でも、実際痛かったのかは覚えていない けれど、自分にメスを入れられたことを知っていただけで、多分 本当にはそこまでいたくなかったんじゃないかなって思う 運ばれていく間、ずっと、いたいいたいって叫んでた その時、母はどんな目で私を見ていたのだろう 私が、お年寄りや障害者を見るような目つきで「かわいそうだ」と 見ていたのだろうか なんとなく今になってそう考えることがある 手術の痛み(というか、なんか変なカンジ)が消えたのは二日後くらいで 歩けるようにはなって、普通に動きまわれた まだ、鼻や喉に変な感じもあったし、痛かったけれど 日常生活にそこまで障害はなくて、母が来なくなった数日間 いたいいたいって泣き叫ぶことはなかった 一人で食堂に行って、一人でご飯を運び出して、一人で食べて 飲み込むたびに痛くて、でも、食べなきゃいけなくて なんか、かなり虚しかった 母がどれくらい来なかったのかは覚えていないけれど その間にいろいろあったような気がする お医者さんに呼ばれて、7階までいかなきゃいけなくて(小児科は二階) エレベーターは本当はつかっちゃいけないって言われてたけど(親がいない場合) 使って、お医者さんのところまで行った そのときに「お母さんがね、いないんだけど、エレベーター使っちゃった」 なんて、お医者さんにちゃんと白状してた(笑) そこで少し記憶がめちゃくちゃ曖昧だけど、私泣いてたと思う 小さい頃の私 看護婦さんとかとも、あんまり一対一で話してなくて お医者さんと一対一で話したときに初めて、自分の寂しい気持ちに気づいたんだとおもう お医者さんの前で、泣いた(んだと思う) 入院している時は、なんでも我侭きいてもらえるんだから なんでもほしいものいいなさいよ、って母は笑いながら言ってた 私は磁石で出来たおもちゃとか買ってもらったけど そこまで何かを求めていたわけじゃなかった だけど、あの時の母の気持ちが、なんとなく分かったんだ 母の、ダーリンに会って、なんとなく分かったんだ 私が退院して、何日か、何週間か、何ヶ月かはわからないけれど 診断かなんかで、病院を訪れたときに 病室で仲良くしていた子(結構友達が出来た中の一人)の姿を発見したことがある 私は声をかけようか迷ったけど、なんとなくやめた 相手は私を覚えていないかもしれないし、エレベーターにのっていってしまったから 彼女は頭に網(なの?w)みたいなのかぶっててなんの病気かは知らなかった だけど彼女よりあとに入った私が、彼女より先に退院したことが少し、悪く思えた 母に少しだけ、あの子はなんの病気なの、って尋ねたことがある そのときの私には理解できなかったけれど、でも、死ぬかもしれない病気だった 直らないような病気だった これからどんどん弱って行くような、そんな病気だった 、、、何も知らなかったなぁ もう今では、その時仲良くなった子たちの顔も、名前も、覚えていない でも、みんなそれぞれ、いろんなおもちゃを持っていていいなぁって思った それは、母親がくれた愛だったんだっていまさら分かったけど そのときはただ単純に「いいものもってんなぁ」ってカンジだった(笑) 退院するのが分かりきっている私 なんか、すごい悪いことをした気分だ、いまさらだけど・・・ 最近、父が死んだ病院を知った アノ頃は小さくて、どこの病院で死んだなんて知らなかったし そんなこと考えもしなかったから 二度訪れたことがあったのだけれど その一度目に訪れたときは、父の手を握った覚えがある 父の意識なんてなかった 誰かが「少し、冷たいだろ」って言ってたけど私には分からなかった 普通の、大きい、お父さんの手だったから 今おもえば、最後にみた父の生きている(といえるのだろうか)姿は あれだったんだなって思う その最後の姿を見た病院が、結構近くにあることにびっくりした あぁ、ここで死んだんだ・・・普通にそう受け止めた 私が二度目にその病院に訪れたのは、朝の6時くらいだったと思う その日も学校があったはずで、だけど、どうしたのかは知らないけれど 朝方、電話がかかってきて、眠い目をこすりながら 母が電話とはなしている(?)姿を見ていた 電話が終わったのを見計らって「誰から?」って私は聞いたと思う その部屋のカーテンは緑色か青色で、そのカーテン色の光が差し込んでた 母は「お父さんが死んだって」と私に伝え、出かける準備をしていた 私も、多分一緒に準備していた お父さんが死んだ、と聞いて、とうとうこのときがきたか、でもなく 悲しい、と思ったわけでもなく、 ただ、友達の血液型を聞いたときくらいの感情で「へぇ」ってカンジだった それで病院に向かった 私は中にいれてもらえなかったけれど それが、二度目の病院を訪れたときの話 ++ 私はイルカに、そっと聞いてみた 「今一番望んでいるのはなあに?」 イルカはしばらく、うーん、と悩んでいた 使い慣れてきた手を、上手く組んで、時に組み替えたりして 私は覚悟をしていた イルカが人間になりたいって言うかもしれないこと もしかしたら、もっと大きな事望むかもしれないこと だけど、頭の隅っこで 「私」だって言ってくれることを少しだけど望んでいた どんなメチャクチャなことを言われようが覚悟を決めていた 覚悟を決めたからには早く答えがほしかった イルカは一つため息をつき、組んでいた腕をはずすと 私のほうを見て、小さく笑った 「好きだよ」 それがどうしたっていうの そう、返したかったけれど、いつものように私は笑った 「僕が一番望んでいるものは」 イルカは少し空白を置いた その時間が、あまりに短くて、あまりに長すぎた そしてイルカは小さな声で呟いた 僕が消えること 2004.5.21 18:19 |
| 2004年05月19日(水) |
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