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六本足ヒルズ
2004年05月30日(日)

いま私は左ひじに爆弾を抱えている。
気付いたのは今朝だ。
左ひじの関節が、ときどき「ピリリッ」と痛む。
いつ痛むかわからないだけに、
皿洗いするの怖いなあ。……などと思っていたが、
気付くと黙々と夕飯を調理してしまっている。
この生活習慣が怖い。生活習慣病みたいな職業病。
『ピッチャーって大変だな、こういう爆弾が命取りだもんなあ』と
周りに「ひじが痛い」と話しても誰もが「あ、そう」と聞き流したことに
微妙な寂しさを覚えながら、野球選手の人生に想いを馳せていた。
野球選手はひじが痛いとつらい職業だが、
私の場合、ひじ痛いけど、
いつもたいてい「頭・むね・はら」のどれかが痛んでるから
それに比べたらマシかなあー、っていう考え方ができる。
不健康なんだけどちょっとプラス思考。

頭・むね・はら。
「頭」には触覚が生え、
「むね」から六本の足が出ています。  (『昆虫』の定義より)

頭痛がないって素晴らしいのよ。
今日も休日出勤的に活動してきたけれど、
炎天下なのに頭痛が来ない!
自分、それだけでもう十分ッス……!
頭痛が無いっていう幸せだけでもお腹一杯ッス!
ハングリー精神がみるみる失せていくのがわかります。
昔は飢えたオオカミのような目をしていたのに、
今ではまるでのんきに暮らす埼玉県民のような、
いやいや「のような」じゃなくてそのものだろ。
丸くなっちまいやがって。
昔の気持ちを忘れたのかよ!
明治維新の頃の、ちょんまげを切り落とした時の
夜明けの気持ちを忘れたのかよ(生まれてないけどね)!!

でも、牛肉解禁になっても牛肉食べないんじゃしょうがないな。
あれから明治維新があって江戸幕府が倒れたけど(経験者?)、
いまだにすき焼きとか食べないもんなー。
さくらももこの「うちはびんぼう」というショート漫画で
「すき焼きの日は肉の奪い合いになる」っていうのが
庶民派な微笑ましいエピソードとして語られているのを読んだ時は、
当時小学生だった私は少なからずカルチャーショックを受けた。
“すき焼きって、世間ではごちそうなのか……!?”
世間と自分の生き様のズレを気付かせてくれた「ちびまるこちゃん」
という作品には本当に感謝である。
「夏休みのラジオ体操」とか、この漫画で初めて知った常識は数多い。

そういえば今日はいつになく「夏休みが近い季節」の感じがした。
短縮授業になって、午前中とか午後二時までとかで授業が終わり、
まっすぐ家に帰った小学校時代の気分を思い出す。
暑い日射しの中、黒光りするカバンを持って帰りつく。
テレビではお昼の番組をやっていて、なんとなく新鮮な感じがある。
黒っぽい“制服”をハンガーにかけ、
明日も着るんだからシワにならないようにしなきゃ、と思う。
宿題がいっぱいだけどやるしかないなーと思いながらアイスを食べる。

子供は今の我々の立場と同じように、
常に未来にうっすらと不安を抱えているものだと思う。
そしてまわりの大人がどういう人間か、その人から学ぶべきは何かを、
自分なりの基準を持って判断している……ように思う。
そう考えると、堂々と「大人」を名乗るのが大変なことに思えてくる。
今の私ははたして、かつての私から見て
「素敵なオバサン」になれているんだろうか。
なーんだ、ってがっかりされなきゃいいけど。

昔は俺も、飢えたオオカミのような目をしてたからな(まじで?)。
じゃあ今は、老けたオオカミ。
オールド・ウルフ!
かっこ悪い響きだ!!
狂犬病の予防注射してくださいよ。
あっ、うちの犬もそろそろするんだった。
あいつ、注射した直後はたいていしょぼくれた顔になるんだよなあ。
「なんかわかんないけど、チクッて刺されたでやんす」って。
語尾に「やんす」が付く感じになってしまう。なんとなく。