酔っぱらいの寝言が気になってしょうがない。 「ぁあぁったく、どいつもこいつも…………むにゃ。」 一向に述語を言わないまま30分過ぎた。 春は名のみの風の寒さや。 春と聞かねば知らでありしを、聞けばせかるる胸の重いよ。 時にあらずと、ああしかし、 もしもこの世にカレンダーと時計がなかったら。 雰囲気なんだろうな、すべて。 「今年、春がない感じだよね」「うん、毎日が冬か夏って感じ」 「寝過ごしたら桜散ってたよ」「寝る前は紅葉だったのに」 「いま朝っぽいよね」「電車来るっぽい」「満員っぽい」 それどころか、誕生日もない。だからみんな、いくつか分からない。 雰囲気で、若いっぽいとか年寄りっぽいとかを判断する。 現実に、歳を聞かれて「80から後は数えるの忘れたわい、ウシャシャシャ」と 笑う長老などがいたりする。 そのくらいの感覚でないと、健康に長生きできないんだろうかな。 みんながとらわれていた重力のようなものが、一つだけなくなれば。 今までのストレスから解放され、しかし別のストレスが待っている。 今日はそんなことを考えた。 「チーズバーガーと、ハーブティー」 「はい、セットですね」 「???ええ」 そんな会話の後、よくわからないが40円安く済んだ。 セットなんて店のどこを見ても書いてない(っぽい)のにさ。 まぁいいけども。 そして包まれる陽気なテンション。 英会話なんて久しぶりすぎる。 免疫のない人よりはましかもしれないが、 それにしても単語を知らないなぁ私。 未だに、十三才の頃のまま。 あの時からいろんな面で成長していない気がする。 もとい、あの頃が一番老けていた時期で、 それ以降はじりじりと若くなっている。 本当はそんなこともないんだろうけど、時折 ゆるゆるとした人生の下り坂を楽しんでいる気分になる、 そんな私は暦がなければほとんど老人かもしれない。 全く関係ないが、最近いろいろとありすぎて “アニータさん”のことをみんなが忘れてきている。 ということに今日気付いた。別にそれでいいが。 |