ご本人がここを見ることはないだろうと思うので書くが、 私は去年あたりから、同じ学科のKくんが気になって仕方ない。 知ってる方は「ああ、なるほど」と思うだろうし、 知らない方は「?」と思うことだろう。 Kくんは、とにかく気になる人だ。 どういう程度の気になり方かというと、 『中尾彬のマフラーのねじり具合が気になる』と思ったときと比べて だいたい26倍くらい気になる。そして、 電車の中の酔っぱらいに肩を叩かれ「ヨッどうだい」と聞かれ、 『どうだいって聞かれてもなぁ』と思ったときの2倍以上は戸惑う。 まず、髪型が気になる。風貌が気になる。口調も気になる。 ……これ以上は肖像権の問題で書けない。 しかしこれだけは解って欲しい―――彼は、 私に「敗けた」 と思わせた程の人物だ。 私はまだまだ小物だな、と思った。その反面ちょっぴり安心。 変わり者の心は複雑である。 今日は、Tくんにこんな話を聞いた。 ある夏の日、Kくんに住所を聞かれて答えたTくん。 Tくんの家は非常に遠い。学校から電車で2時間半かかる。 だから思ってなかったのだ、まさか急に遊びに来るなんて。 しかも、車で。高速も使わず。 ……どうも、車を買ったのでどこか遠くに 行ってみたい時期だったようだ、とTくんは分析し、 あの人変わってるよね、と寂しげに笑った。 そのTくんは、私のことをてっきりB型かAB型だと思ったそうだ。 はっはっは、A型なんだよ。 A型にも、風変わりな人間はいるんだよ。学びたまえ(←何様?)。 やるべき事が多くて死にそうな時、急にKくんのことを思い出した。 それは、試験前に掃除をしたくなる学生や、 カラオケで急に浜田省吾を歌いだす女子大生や、 納豆ご飯と共にグラタンを食べてしまう日本人の味覚と似た現象。 抹茶ミルクとかいちご大福とか、アフロ犬とかも基本は同じ原理だと思う。 |