Deckard's Movie Diary
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| 2007年10月13日(土) |
パンズラビリンス 大統領暗殺 サウスバウンド |
実はギレルモ・デル・トロって嫌いじゃないんですよ(笑)。『ミミック』はもちろん、『ブレイド2』は『1』より好きですし、『ヘル・ボーイ』の続編も楽しみにしているような輩です。彼の作品は日本やヨーロッパの監督のようにちょっとウェットなところがあり、自分の好みに合っているのでしょう。3年も待たされた『デビルズ・バックボーン』はイマイチでしたが、この作品には今回の作品に通じる流れがあったような気もします。で、デル・トロの名前がいきなりアカデミー賞にノミネートされて驚かされた新作の『パンズ・ラビリンス』を観てきました。いやぁ、凄いですよ!この作品は間違いなくデル・トロの最高傑作ですね。スペイン内乱を背景に少女オフェリアにふりかかる過酷な運命。少女は現実逃避をしていたのか?夢を見ていたのか?子供の目には美しいと感じたモノはより美しく、残酷に感じたモノはより残酷に映るモノです。魚眼レンズを超えているKIDS眼レンズを通して描かれた空間は、ある意味リアルなファンタジーとも言えます。それは一般的な“ダーク・ファンタジー”とは違い、作品そのものがラビリンスというか、パラレルワールドのような世界観で満たされていて、残酷な現実を目の当たりにした少女の危くあやふやな心が儚くも美しく描かれています。言い古された言葉ですが、こんなにも切ないラストも久しぶりでした。恐れ多いとは思いますが、多少なりとも少女の心に近づけた気もしました。
今の日本に内乱はありませんが、人々を取り巻く状況は決して楽観出来るようなモノではありません。そう考えると、オフェリアのような少女が居ても不思議ではないでしょうね。
例によってデル・トロの定番である虫や個性的なクリーチャー、リアルな残酷描写が満載ですので、その手が苦手な方は敬遠した方がいいと思います。がしかし!出来れば、全ての人に観て欲しい作品です!キッパリ!
その斬新な手法からかなり期待したのですが、ちょっと期待ハズレでしたね。例えば、このストーリーで普通に映画化したら相当平凡ですよ。そう考えてしまうと、だからこの手法なのか!と勘ぐりたくもなります。
『現職の大統領の暗殺を仮定して、徹底したリアリズムでシミュレーションするラジカルなテーマが世界各国で物議を醸した問題作。911同時多発テロを受けて始まった“対テロ戦争”の泥沼化が進む中、いつしかアメリカ国民からの支持も失ってしまったジョージ・W・ブッシュ大統領。本作は、そんな今や多くの人が世界を覆う混迷の元凶であるかのごとくみなすブッシュ大統領が暗殺されたとの架空の設定を基に、ブッシュ亡き後の世界がどのような方向へと進んでいくかを客観的に考察し、その想像の未来を徹底したドキュメンタリー・タッチで描き出していく野心的政治サスペンス・ドラマ。監督はイギリスの俊英ガブリエル・レンジ。(“オールシネマオンライン”から)』
面白いのはブッシュが撃たれるまでで、それ以降はちょっと眠たいです。インタビューで構成されているので仕方無いのですが、想像の範囲を越えないので、今までに何度も見たようなニュース映像の繰り返しのような錯覚に陥ります。でも、この辺りが限界なのかなぁ・・・この映画の手法に興味が湧いたのですが、自分で自分の首を絞める結果になったのかもしれません。ただ、この手法で描かれたことに寄って分かりやすく見せられた部分もあります。まぁ、分かったことは世界の警察・アメリカの大統領が暗殺されたところで何も変わらない!ってことですね。全てが滞りなく、まさに大統領も歯車なんです。それこそが世界の、政治の、スタンダードってコトなんでしょう!
とにかくテンポが悪いし、都会での子供達の演技はワザとらしいし、マジで森田って下手糞になったなぁ。前作の『間宮兄弟』も酷かったですが、どうしちゃったんでしょう。『39』は良かったんですが、それ以降の作品はあんまり誉められたモノではないでしょう。プログラム・ピクチャーをこなしているうちに、緊張感が無くなってしまったのかもしれません。この作品も設定(両親がバリバリの学生運動戦士)は面白いと思うのですが、単にハチャメチャなだけで説得力がありません。ハチャメチャならもっと突き抜けないとねぇ・・・中途半端なんですよ。ラストは嫌いじゃないので、何処かで既成概念と真剣に立ち向かう部分が欲しかったです。
ところで、長女役の洋子を演じているこの腫れぼったい女性は誰だ?と思っていたら北川景子でした。なかなかいいんじゃないですか?そう言えば『間宮兄弟』にも出ていましたから、森田のオキニなのかもしれませんね。
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