Deckard's Movie Diary
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2007年01月23日(火)  それでもボクはやってない ディパーテッド グアンタナモ、僕達が見た真実

起訴されたら99%が有罪という国は先進国では日本だけで、世界の平均は80%くらいらしい。で、90%を越えると異常と言われているらしい(苦笑)

まぁ、伊丹十三に代表されるこの手の情報映画の宿命でもあるんですけど、どうしても人を描くことが希薄になりがちです。今回もまた!・・・という印象が残ります。それでも十分面白いし、いつでも痴漢の冤罪被害に合う可能性の高い男性は必見でしょ!

小学校教師の女性が殺されたのだが、26年の間その死体を隠し続けた用務員の男性は無罪放免!遺族に謝りもしないし、ただただ口を閉ざすだけ。無念の遺族は民事に損害賠償を訴えたが110万円の支払いを命じただけでした。コレは無いでしょ!狂っている・・・間違いなく日本はオカシイですよ!



『インファナル・アフェア』のリメイク、アカデミー賞監督賞受賞作品『ディパーデッド』です。監督賞を受けて大喜びだったスコセッシですが、彼はこの仕事を積極的に請けたんでしょうか?最近のスコセッシの作品と比較すると、かなり曖昧ですし、乱雑な印象が残りました。ただ、いいのか悪いのか、その乱雑さが若い頃のスコセッシを彷彿とさせる力強さに漲っているのですから、ややこしいってモンです。屋上からエレベータのシーンは本家でも見応えのある場面ですが、今回もまた緊張感に満ち溢れています。鏡の前では警察官だってマフィアだってただの人間、そして、死んでしまえばただの死体・・・というアメリカナイズされたテーマは面白いですが、デュカプリオの方はあくまで善人として描かれているのに、マット・デイモンの方が中途半端な印象です。アメリカナイズされたキャラならば、もっと徹底的にワルに徹して欲しかったですね。その辺りがちょっとねぇ・・・ああいう殺しの理由になるのならねぇ・・・。『フラガール』の李監督もそうなのですが、今までの作品で一番客観的に出来た!と言っているように、スコセッシもそうだったのかもしれません。なまじっか思い入れが無い分、冷静に作れるんでしょうね。本家は善と悪を対比させながら、善人になろうとした悪人の悲哀・・・誰でも善人になりたいんだなぁ・・・と思わせた『インファナル・アフェア』に思い入れのある人間にはイマイチでしょうが、そうでない人には結構魅力的なのかもしれません。ところで、マーク・ウォールバーグ扮するキャラは本家には無いモノですが、このキャラって何の為に出てきたんですか?ただ、落とし前をつけるだけなら、あまりにご都合主義じゃないですか?だって、肝心な時には居ないんだもん!


・・・そりゃ「そういう現実があったのか!」と思わされるけど(もちろん、様々なニュース等に接していれば想像出来ない現実では無いです。)、やっぱり“再現フィルム”の域を出てないと思うんですよ。演出された部分とニュース・フィルムを巧みに混ぜ合わせて、見応えはありますが・・・。同じウインターボトム作品の『イン・ディス・ワールド』の時にも似たような印象を持ちましたし、中東の映画にも同じような感想を持つことが時々あるのですが、個人的にはですねぇ・・・イギリスでノホホンと暮らしていた20歳前後の若者があのような過酷な状況に追い込まれて、どうして何ヶ月もの間、平常心を保っていられたのか?そういうコトに興味を感じます。っつーか、知りたい!中には気が触れてしまう人間も居るワケですし・・・でも、そういうコトは一切描かれて無いんですね。ただ一言「強くなった・・・」だけなんですよ。それとも、普通に耐えられるような程度なんですかね?そんなコトは無いでしょ!じゃ、どうして彼らは耐えられたんですか?宗教ですか?友情ですか?家族との絆ですか?それとも生への執着ですか?個人的には、そういう部分をガツン!と描いてくれないと“映画”を観た気がしないんです。とても良く出来た“再現フィルム”でしか無いんです。まぁ、観る価値は十分ありますけどね・・・それだけでいいのかなぁ・・・( ̄o ̄;)ボソッ。この手の映画を観ると、何だか腑に落ちないんだよなぁ・・・。



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