Deckard's Movie Diary
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2006年11月01日(水)  サンキュー・スモーキング 太陽 父親たちの星条旗 ブラック・ダリア

まず、タイトルバックが洒落てます。それだけでこの映画のセンスの良さを感じさせてくれるので、先行きが楽しみになります。この映画は煙草論争という題材を前面に押し出しながら、本当に描きたかったのは「人の意見を鵜呑みにしないで、自分で勉強して自分で考えろ!」ってコト!つまり、自分でバンバンしなきゃダメ!ってことなんですよね。それって70年代育ち・反体制気質のオイラにはめちゃくちゃツボなんですよ(爆)。まぁ、広告畑で生きて来た小生にとっても、ストライク・ゾーンなんですけどね(苦笑)。主演は、何をやらせても何処か胡散臭い雰囲気を漂わすアーロン・エッカート。今回はそのキャラがハマりましたねぇ・・・ちょっと見直しました。アメリカは弁護士の話術でスーパースターの殺人が無罪になってしまう国です。全ては巧みな話術、すり替え、詭弁が大手を振って罷り通っている世界です。だからこそ、自分で考え判断されることが要求されるワケです。監督はアイバン・ライトマンの息子であるジェイソン・ライトマンですが、父より知的かもしれません。それは主人公のニック・ネイラーの親子関係にも似ているのかもしれませんね。「これは、交渉じゃないよ、議論だよ!」と父であるニック・テイラーの話術を利用し論争を仕掛ける息子は、まさにジェイソンが父であるアイバンに「この映画はどうよ?」と言ってるようなシーンにも見えます(そうかぁ?)。\(^-^\) (/^-^)/ソレハコッチニオイトイテ…それにしても、今更ながら人間ってのは狡賢いですね。ああ言えば、こう言う・・・まさに、広告的ですなぁ・・・( ̄o ̄;)ボソッ


『ボヴァリー夫人』『エルミタージュ幻想』のアレクサンドル・ソクーロフが昭和天皇を描いた『太陽』。う〜ん、何処が面白いんだかサッパリでした。チラシには“彼は、悲劇に傷ついた、ひとりの人間。”とか書いてあるんですが、そんなの当たり前じゃないですか!天皇の内面の苦悩をユーモアを交えながら描いたヒューマンな作品とか言うんでしょうけど、オイラの琴線には全く触れませんでした。一番不満なのは戦争末期から始まったのに、いつのまにか終戦になっている時間の流れです。原爆投下も玉音放送もありません。“耐え難きを耐え、忍び難きを忍び”は昭和天皇の名演説でしょ!まぁ、所詮ロシアの監督が考えている天皇の話ですから、仕方無いのかもしれません。好意的な見方をすればロシアの監督が“天皇”というワケの分からないモノを良くもここまで描いたなぁ・・・と、言うコトも出来ます。ただ、それが一体なんだと言うのでしょうか?という疑問も残ります。まぁ、オイラの感受性が鈍いのでしょうけど、人間味を描くのなら生物学者としての天皇も描いて欲しかったですね。「雑草という植物はない!」なんて、名言じゃないですか! 結局のところ、ここで描かれた“天皇”を観て、外国の方はどう思うのでしょうか?何が胸の内に残るのでしょうか?子供のようだとか、象徴だとか、戦争責任は追及出来ないとか・・・オイラには良く分かりません。ソクーロフは過去に『オリエンタル・エレジー(未見)』『穏やかな生活(未見)』『ドルチェ優しく』と3本の映画で日本を捉えており、どれも日本人が忘れてしまった遠い記憶を呼び起こすような作品だそうですが、ちょっと神秘的に見過ぎているような気もします。とにかく、暗い画面にボソボソとした喋りばかりで、めちゃくちゃ眠たくなりました。世間的には評判が宜しいようですが、オイラはダメでした。悪しからず・・・。


スティーブン・スピルバーグ製作、クリント・イーストウッド監督作品『父親たちの星条旗』。まさに、ハリウッド史上最強コンビの大作です。これはねぇ・・・カットバックが大失敗だと思いますよ。とにかく煩わしくてキャラの心情に入っていけません。まず、無名の役者が演じるヘルメットを被ったアメリカ兵の名前と顔が一致しません(自爆)。それにしても脚本のポール・ハギスは時間軸をいじるのが好きですねぇ(苦笑)。時間軸を縦横無尽に動かせるのは“映画”というメディアの特権とも言えますが、両刃の剣でもあります。テーマは興味をそそられますし、ストーリーも申し分ないと思われるのですが、時間軸をいじり過ぎた為に狙いがストレートに伝わって来ませんでした。もっとストレートに作られていたら・・・。しかし、戦争における“英雄”とは一体誰なんでしょうか?それは、生き残った人達でもなく、亡くなってしまった人達でもなく、誰でもないような気がします。戦争における“英雄”を探し出したい気持ちは分かりますが、やっぱり、戦争に英雄は居ませんよ。居るのは、犠牲者だけじゃないでしょうか?


世間一般的には『アンタチャッブル』『ミッション・インポシブル』の監督ブライアン・デ・パルマの新作『ブラック・ダリア』です。う〜ん、困った映画です・・・登場人物は多いし、話は幾重にも重なるし、それが微妙に関連してくるし、挙句にカメラワークも難解だし、分かり辛れぇ〜!それでも、妙な魅力に溢れているんですよね・・・いや、溢れてはいないか(苦笑)。結局のところ欲張り過ぎなんでしょうね。おそらく2時間では無理なんでしょう。思わせぶり過ぎるヨハンセンの表情とポーカー・フェイスのハートネット。この対比も映画を複雑にしている要因だと思いました。それでなくても分かり辛い展開なのに、致命的でしたね。映像に拘るあまりストーリーが停滞するのも、完成度を低くしていたんじゃないでしょうか?そういう意味ではデ・パルマの題材のように見えて、そうではなかったんですかね?最初にこの映画の情報を見た時には、かなり期待したんだけどなぁ・・・( ̄o ̄;)ボソッ どうせなら、思い切って3時間くらいの長尺モノにしてもらった方が良かったかも?一番面白かったのはENDマークが出たとたんに「なになに?分からない!どういうこと?」というOLたちの声が劇場内に飛び交ったことかな(苦笑)


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