Deckard's Movie Diary
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2006年10月23日(月)  カポーティ

あちらこちらで評判の良い『カポーティ』ですが、う〜ん、何とも中途半端な映画でした。この映画は一体何を描きたかったんでしょうか?個人的にはホフマンの怪演におんぶに抱っこした作品としか思えませんでした。タイトルで『カポーティ』と名乗っているのですが、要は代表作のひとつである『冷血』を書いた頃の話です。『冷血』は彼の一番有名代表作なのですから仕方ありませんが、カポーティという作家は本来、少年少女の思春期を書いてナンボの人でした。まぁ、そうは言っても刹那な青春模様だったりするワケですから、あながちズレていないのかもしれません。ただ、個人的にはカポーティ自身が殺人犯と同じ穴の狢というだけでなく、犯罪ノンフィクションに興味を示す部分をキッチリと描いて欲しかったんですよね。新聞の記事に目を留めたとしても、あまりに簡単にのめり込み過ぎです。とある人物を描く時にその一部分だけを切り取るならば、観ている方がうんざりするくらい濃く描いてくれないと・・・表裏だけの表現でそれを語るのはあまりに短絡的でしょう。全編を覆う寒々しい空気感は特筆するべきモノがあるだけに惜しまれる作品です。個人的にはカポーティの原作を映画化したリチャード・ブルックスの『冷血』の方が圧倒的に面白いと思いますね。


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