Deckard's Movie Diary
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2006年03月10日(金)  ジャーヘッド ミュンヘン

最終日に観てきました。予告編から相当気になっていた『ジャーヘッド』です。う〜ん、ちょっと肩透かしでしたね(苦笑)。戦争の狂気を描いた今までの映画とは一線を画していると思っていたのですが、結局は同じでした。まぁ、同じだからと言って、悪いってワケじゃないんですが、今回は今までで一番不可解な戦争が舞台だっただけに、その狂気の描き方も違うのかなぁ・・・と、思っていたものですから。つまり、殺人マシーンとして鍛えられ、戦地に赴いたはいいが、殺す相手が居ない・・・となったら、そりゃ、どーなっちゃうの?おれ?って感じでしょ!そして、結局は最後まで敵を殺すコトが出来なかった・・・せいぜいラクダを撃った程度で、イきそうでイけなかった・・・半立ち人生なワケですよ。個人的には、敵とは言え、生身の人間を殺すことが出来なくて良かったのか?悪かったのか?という観点も加味して欲しかったんですよね。「おれ達に殺させてくれ!」と叫んだトロイは最後までジャーヘッドのまま、自分を殺すコトになってしまうんですが、この内容では今までの戦争の狂気と大して変わらないような気もします。結局は、殺しても殺さなくても、とてつもない狂気の塊である戦争の前では大同小異ってコトなのかもしれません。ただねぇ・・・殺すことが無かった幸せってのは無いんでしょうか?幸せってのはオカシイか・・・なんだろ、「殺す気満々だったけど、そういう状況にならなくて良かったよ・・」みたいなね。まぁ、こんなことを言ってるオイラが理解出来てないんだろうな。




スピルバーグの『ミュンヘン』。とても硬派な小説を読んでいる気分にさせられました。硬い文体がほとんどなのに、全10巻(まぁ、そんなイメージです)最後まで放り出すことなく読めました。それなりに面白かったし、さすがにスピルバーグだけあって、スピ的嫌らしさも健在です(笑)。で、結局は何が言いたかったのでしょうか?“9・11同時多発テロ事件”から中東平和の為と言い、イラクを先制攻撃したブッシュ。と、“ブラックセプテンバー事件”があり、中東平和の為と言いながら、ジェフリー・ラッシュに復讐を命じるゴルダ・メイアを重ね合わせたのは明白ですが、だからぁ?なんです。テロも復讐も結局は同じ穴の狢ですし、果てしない殺し合いは、やがて女子供も巻き込んで行き、何処まで行っても恐怖は無くならないし、逆に大きく育ってくだけ!という、誰が考えても当たり前のコトを止められない人間の愚行を描いて見せ、真の平和を世界に問う!と言われてもなぁ・・・。例によって銃撃戦での綿密な描写や、ヒッチコックの反省を踏まえた娘の電話シーンなど、それぞれの場面は極上の仕上がりですが、明快な主張は見えて来ません。結局は、アヴナーの個人的な生活に焦点を当て、ラストのカットバックへ繋がるんでしょうけど、なんだか肩透かしを食った印象が残りました。アヴナーなのか、組織なのか、事件なのか・・・どれもこれもが中途半端のような気がします。逆に言えば、ラストのカットバックが台無しにしたような気もするんですけど・・・どうでしょうか?


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