Deckard's Movie Diary
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2004年12月15日(水)  ザ・ゴールデンカップス/ワンモアタイム 人妻集団暴行致死事件

最近は全世界的に音楽ドキュが流行のようで、日本からは『ザ☆ゴールデン☆カップス/ワンモアタイム』がエントリーです。「トーキョーなんてハマの残りカスみたいなもんさ!」と言ったのはフェンスの向こうに“アメリカ”がドカン!と構えていた“本牧”の言葉です。ベトナム帰休兵が踊り撒くっていた横浜・本牧にあるクラブ“ゴールデンカップ”。60年代後半の世相(安田講堂、新宿騒乱事件など)を垣間見せながら、今現在は各界で活躍する人々が証言する本牧の実態は、同じ時代を生きて来た人間としては懐かしくもあり、悔しくもありました。日比谷野音でのフリー・コンサートに革マル派が乱入したり・・・という、その時、現場にいた遠い記憶を呼び覚まされる話なんかも出て、胸がちょっと熱くなりました。ただねぇ・・・遅れてきた大物バンドだったカップスが♪いとしのジザベル なんてバタ臭い楽曲でデビューし、こいつらはちょっと違う・・・な〜んて思っていたのに、いきなり♪長い髪の少女 かよ〜!っつー印象はありました。つまり、バカにしていたトーキョーのやり方に乗っかったワケですからねぇ・・・地元の風当たりはどうだったの?とか、どんな気持ちでやってたの?みたいな、その辺りのコトにあまり触れてないんですよねぇ。まぁ、そんな細かいコトなんか考えてないよ!っつーことなのかもしれませんけどね。それと、気になったのは前半後半(A面B面)に分けた構成が良かったのかどうか?つまり後半は所謂フィルム・コンサートなんですよ。やっぱり、生生しいインタビューと復活ライブを交互に見せた方が良かったと思うんですけど。それにしても、マジでカップスの連中って悪かったんですねぇ。曰く「あんな不良は見たことない」、「いい奴なんだけど、ヤク中だからなぁ・・・」とか、やっぱ住んでた世界は違いますわ(笑)。観客は同窓会のような雰囲気で、何処か共犯意識にも似た空気が流れていました。そんな女性客の中には現在のマモル・マヌーの姿を見てトホホな溜め息をこぼしている方もいらっしゃいました(笑)。インタビューで面白かったのは土屋昌己(カップスのローディだったんですね)。あんなに嬉々としている土屋昌己なんて見たコトありません(笑)。葉村エツコなんて人の顔が見られたり、ちょっとビックリ!


神代辰巳と並んで日活ロマンポルノの雄と並び称された田中登の代表作と言えば『マル秘・色情めす市場』と『実録・阿部定』ですが、その二本の中間に位置する作品がこの『人妻集団暴行致死事件』ではないでしょうか。確か・・・日活ロマンポルノと題されたシリーズは90分の上映時間の中に10分に1回濡れ場があれば後は何をやってもいい!という法則でした。田中登は軽いノリの若者たちのSEXに比べ、室田と黒沢の濡れ場を執拗に映し出します。即物的な行為としか描かれない若者と、成熟した大人の濃厚な性描写。しかし、自分が可愛がっていた無軌道な若者3人は妻を強姦し殺してしまう・・・そして、彼女の“死”から分かったコトは・・・。それはあまりに自分勝手な解釈だった・・・アレだけ愛し合っていたと思っていたのは単なる勘違いだったのかもしれない・・・それなりに人生経験を積んで来たのに、何も分かっていなかった・・・悲しい結末。この辺りのレトリックはロマンポルノの法則を逆手にとった上手い作りです。相手のコトを思いやっているように見えて、結局は自分の都合の良い解釈をしてしまう、望んでしまう人間の“愚かさ”が産んだ悲劇を、淡々と描いています。マリファナ所持で捕まった室田日出男は復帰後初作品となる今作で、破滅する中年男を好演していますが、ナンと言っても人妻役の黒沢のり子です。殺された後までも素晴らしい存在感で恐ろしいくらいです。懐かしかったのは、まだ“康雄”と名乗っていた頃のひょろひょろの故・古尾谷雅人とか、タヌキ顔のポルノ女優・志方亜紀子とか、まさに遠い目になってしまいました。それにしても尋常じゃないタイトルです。まぁ、日活ロマンポルノ色が良く出ていて個人的には好きですけどね。もちろん、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されています(笑)。


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