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『TOMORROW/明日』『美しい夏キリシマ』に続く黒木和雄監督の戦争レクイエム三部作の完結篇『父と暮せば』。今回は前二作と打って変わって戦争の悲惨さをストレートに訴える台詞劇になっています。原作が井上ひさしの戯曲というコトもあり、ほとんどのシーンは原爆で焼かれた家(旅館)の一角で演じられ、さながら舞台劇を観ているように原田芳雄と宮沢りえの二人劇として進んでいきます。広島弁で交わされる二人のやりとりは時にあたたかく、そして切なく、時に微笑ましく、そして悲しくもあります。テーマは分かりやすく、演出にも不足はありませんが、例によって地味すぎてモノ足りません。被爆というトラウマからの脱出、生きていく糧になる出会い、その為の父の役割等・・・もっと映画的手法を使ってドラマティックに描いた方が良かったんじゃないでしょうか。もちろん悪い映画ではありませんが、ベタな話だけにあざとく描いてくれた方が観ている方としては、安心してドップリ浸かれるというモンです(苦笑)。どうにも作りが真摯過ぎて固いんですよねぇ。魅力的な話だけに惜しいなぁ・・・ボソ。さて、宮沢りえです。確かに上手くなりましたし、広島弁の長台詞もしっかりと自分のモノにしています。それでも、演技だけで人を感動させるほどの力量にはまだ足りません(だからと言って、この役を宮沢以上に上手く演じられる若手の役者が居るとも思えませんが(⌒o⌒;A) すっかり“女優”という仕事が板についてきた宮沢ですが、この映画は彼女にとって“素晴らしい女優”になる可能性を感じさせる作品でした。
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