Deckard's Movie Diary
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| 2004年03月01日(月) |
オアシス グッバイ、レーニン! 幸せになるためのイタリア語講座 |
さて映画の日です。まずは『オアシス』。始まって暫くは「こりゃ、キッツイなぁ・・・」という思いが頭を過ぎったのですが・・・。この作品は素晴らしい演出手腕と、その要求に十二分に応えた演技で紡がれた稀有な作品と言えます。甘い!という人も居るでしょうし、うそ臭い!という人も居るでしょう。結局はコワレ者とハミダシ者の映画だろ!という人も居るでしょう。中には汚い!と言う人も居るかもしれません。それらの意見を否定する気などサラサラありません。それでもこの映画は素晴らしいし、評価されるべき作品だと思います。見た目は身体障害者でも喜びは健常者と同じ!という当たり前のコトをここまで端的に表現した映画も珍しいでしょう。そのシーンは突然観客の前に現れ、風のように消えてしまいます。その儚さは清涼感さえ感じさせてくれました。だからでしょうか・・・周りですすり泣く音も聞こえたのですが、不思議と涙は零れませんでした。涙腺の弱いオイラにとっては珍しい出来事です(苦笑)。話は想像をしている通りの展開を示しますが、ラストの明るい日差しが何故か微笑ましい映画でした。監督はイ・チャンドン。この人は前作『ペパーミント・キャンディー』でもそうだったのですが、ちょっと長いのが玉に瑕だわなぁ・・・・ボソ。
続いて『グッバイ、レーニン!』。これもまた素晴らしい作品でした。主人公アレックスの母親は筋金入りの社会主義者。ところが東西ドイツ統一を昏睡状態のまま向かえてしまい、目が覚めた時には全く別の世界が!ショックを与えると命にかかわる危険があるので、アレックスは統一ドイツの世界から母を隔離しようと画策しているうちに・・・。この作品は歴史の過渡期に翻弄された人々をユーモアたっぷりに描きながら、人類の愚かさと人間の素晴らしさを同時に描くというまさにウルトラC(古いよ!)級の傑作と言えます。母と息子の想いは清々しい印象を残しながらホンワカと暖かい気持ちにさせてくれます。それは二人を中心に据えながら、ドイツ統一前後の人間模様を愛情豊かに見つめているからなのでしょう。前半ちょっともたつくのが惜しまれますが、この際大目に見ます(笑)。それにしても巧みな脚本で、皮肉が効いていて哀しくもあるのですが、心温まる気分にもなれます。素晴らしい!としか表現のしようがありません。『ルナ・パパ』『ツバル』で健やかな印象を残した、お気に入りの女優・チュルバン・ハマートヴァがちょっと大人になって登場していたのも好感触でした(自爆)。
ラストはドグマの『幸せになるためのイタリア語講座』です。予告編からは“楽しいドグマ映画”という印象だったのですが、やはり“ドグマ”は“ドグマ”でした(苦笑)。モッサリした進行、妙な間の取り方、例によってロケセット&手持ちカメラ等は、どうってコトない話をそれなり風の作品としてカモフラージュするのに成功しています。ナンだか人生が上手く行ってない連中が役所のショボいイタリア語講座で知り合い、恋に落ちる話。前半は睡魔を誘いますが、後半はどうにかなってます(って、なんだソレ!)。まぁ、わざわざ金を払って観るコトもないかなぁ・・・(笑)。で、“何故にイタリア?”ですが、単純に“愛に積極的な国”ってコトなんじゃないですか?
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