Deckard's Movie Diary
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2003年12月18日(木)  ジョゼと虎と魚たち ファインディング・ニモ

『ジョゼと虎と魚たち』です。犬童一心監督の前作『金髪の草原』が自分の苦手としている雰囲気の作品だった為、あまり期待していなかったところへ、ほとんど映画の趣味が合わない古い友人から「本年度ベスト!」なんて聞かされたモノだから、余計にテンション低めで観に行ったのですが・・・これは良い映画でした(苦笑!っつーか、文章なげぇ〜!)。自分の中でも本年度ベストかもしれません。脚本の渡辺あやという人は岩井俊二のウェブサイトから登場した主婦脚本家だそうですが、初の作品で素晴らしい才気を発揮したものです。同情と愛情のはき違いになってしまいそうな設定ですが、ごく普通の切ない恋愛映画になっているところがとても良かったです。妻夫木演じる“恒夫”は田舎のボンボン風で、その日をそれなりに楽しんで生きているどこにでもいる大学生。池脇演じる“ジョゼ”は図太いオバハンの雰囲気を感じさせながら、ガラスの繊細さを併せ持つ。この二人のキャラクターがとても魅力的で、ナンだか応援したくなってしまいました(苦笑)


<以下、内容に触れています。未見の方は読まないで下さい!>

この作品を観た友人二人が「ラスト近辺、ジョゼの家で別れた後に元彼女と即会っているのが許せない!」と言っていたのですが、オイラはそこが(この脚本は)上手い!と思ったところなのです。恒夫はジョゼと別れ、合流した元彼女と道を歩いてると、ジョゼとの別れがやりきれなくなり泣き崩れてしまいます。驚いた元彼女は「どうしたの?」と聞いてその場面は終わります。オイラが思うに、ジョゼは恒夫が初めて好きになった女性なんじゃないでしょうか。それまで恒夫は女性を本気で好きになったコトはなかったんです。元彼女にしたって、セフレから「ヤレるかもよ♪」とか言われて嬉しがったりしている程度の相手であり、もちろん「いいなぁ・・・」とは思っていてもそれは“愛”ではありません。それまで恒夫が女性に対して抱いていた思いは「それなりに可愛くて、それなりに性格が良ければいいや」という感じだったんじゃないでしょうか。それがジョゼと知り合って成り行きで接している内に最初はナンとも思っていなかったのに、だんだんと自分の心が彼女に惹かれているコトを知るわけです。それは彼が生まれて初めて経験する(人を愛するという)感情。そしてその気になるのですが、結局は理想と現実の間でジョゼから逃げてしまう・・・だからこそ自分の情けなさもあり号泣してしまったのではないでしょうか。で、その場所に元彼女が一緒に居るということは元彼女に対してそういう気持ち(本気で好き)が全くないことの裏返しなのです。おそらく元彼女はあの後に恒夫に「まだ彼女のコトが好きなんでしょ!私と別れた時には泣いたりしてないじゃない!」とか責めるでしょう。だから、あの二人は長続きしないでしょうね(苦笑)。つまり別格なんですよ!恒夫にとってジョゼはね!逆に恒夫が一人で泣き崩れたとしましょう。で、おそらく元彼女や友人と楽しそうな恒夫のワンシーンが挿入されるでしょう。その終わり方だと、どうでしょう・・・恒夫のジョゼに対する気持ちが薄く感じられませんか?又は、一人で泣き崩れ、そのままジョゼの横顔で終わる。これは嘘臭くないですか?まぁ、この辺の好みは人それぞれでしょうけど、個人的には最良のエンディングだと思いました。そして今後、恒夫の前にジョゼのような女性は決して出現しないし、恒夫はジョゼを一生忘れることは出来ないでしょう。それは恒夫もジョゼもこの恋愛で成長してしまったから・・・良い意味でもズルイ意味でも。それが“大人”になるってコトだったりするから切ないのです。過ぎた季節は二度と巡っては来ません。人と出会い、人を好きになり、二人だけの時を過ごし、楽しい夢を見る・・・それは全ての人が享受出来る甘い物語。例え苦い後味が残ったとしても、血となり肉となっていくモノなのです。しかし、そういう相手に巡り合えない人も多い中、恒夫もジョゼも幸せなのかもしれません。それはラストのジョゼの横顔が語っているんじゃないでしょうか。


今日『ファインディング・ニモ』を観て思ったのですが、自分にとってはピクサー作品は『トイ・ストーリー』で終わっているのかもしれません(>_<)アチャ!あまりにも健全なキャラクター達の滑らかな動きや饒舌な表情が体内時計と合わないようで、観始めると直ぐに睡魔に誘われてしまいます(苦笑)。元々ディズニー・アニメにあまり魅力を感じない自分にはピクサー作品にも同じような匂いを感じて来ているのかもしれません。『モンスターズ・インク』ではほとんど寝てしまったのですが、今回はウツラウツラ程度では済みました(自爆)。だからと言ってこの映画が退屈か?と言ったらそんなコトはありません!(矛盾してるなぁ・・・ボソ)作品の完成度はため息が出るほど高く、特にCG技術は驚嘆に値します。ストーリーは相変わらず細部までさらに練られていて素晴らしく、予告編をさんざん観ていたとしても十分面白いです。それでも個人的には何も感じるモノは無かったです。涙腺なんてピクリともしませんでした(⌒o⌒;A個人的には来年の作品のが魅力的に感じましたが、これからさんざん予告を見せられると、観る頃にはまた観たような気分になっちゃってんだろうなぁ・・・ボソ。


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