Deckard's Movie Diary
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2003年12月19日(金)  息子のまなざし ヴァイブレータ

全編手持ちカメラ、あげくに70%が被写体の後ろから撮っているので鬱陶しいことこの上なし!また、被写体の全身が写っているカットは数点しかなく、ほとんどがバストアップ以上のサイズで観ていて息苦しくなります。当然、気持ち悪くなる方もいらっしゃったようで、上映中に立ち去った人が2名ほどいました。その撮影方法に固執している理由は、おそらく主人公の心情の表現だったり、ラスト近辺に観られるシーンの伏線だと思われるのですが、どうなんでしょう・・・個人的にはやり過ぎだと感じました。重い話を淡々と描写した演出には確かなモノを感じますが、どうせならもっと堂々と描いて欲しかったです。ここまで手持ちカメラにこだわらなくても描けたと思うのですが・・・。この手の映画は苦手です!

『ヴァイブレータ』の脚本家・荒井晴彦は70年代に日活ロマンポルノとして上映された『赤い髪の女』(神代辰巳監督 石橋蓮司/宮下順子)という傑作を書いているのですが、今作はその現代版のような趣があります。トラック運転手とその運転手に拾われた女。前作は彼のアパートに住み着いた女でしたが(違ったっけ?)、今回はトラックでのロード・ムービーの形になってます。今作は原作があるのですが、映画の中身は荒井晴彦節が炸裂!特に二人が出会う最初のシーンは秀逸です。また、垢抜けている音楽がドロドロしそうな雰囲気をうま〜くカモフラージュしており、全編を通してちょっと洒落た大人の映像私小説のような味わいなっています。それでも荒井晴彦ですからザワザワしてますが・・・。主演の二人、寺島しのぶは何処か当時の宮下順子を思わせる色香を漂わせておりウェットな存在感タップリです。大森南朋はちょっとセリフ回しが気になりましたが(あまりに饒舌なので・・・)、それもストーリー展開上必要だと考えればアレでいいのかもしれません。監督は『不貞の季節』がトホホな出来だった廣木隆一ですが、今回は嵌ったようです。“あたし、あなたにさわりたい。”いいコピーじゃないですかぁ!しっかしキネマ旬報が好きそうな映画だなぁ・・・・ボソ。


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