Deckard's Movie Diary
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2003年06月27日(金)  人生は、時々晴れ

 『人生は、時々晴れ』。『秘密と嘘』でカンヌ・パルムドールを受賞したマイク・リーの新作は相変わらずとっても地味ぃ〜です。美男も美女はもちろん、派手な音楽やエフェクトもお呼びでない監督ですから眠たくなっちゃう人も多いでしょう(苦笑)。それでもこの映画は素晴らしいです。個人的には『秘密と嘘』よりも断然評価します。物語はイギリスの低所得者層向け集合住宅に住む一家を中心に、その隣人をも含んで描かれますが、彼らを覆う閉塞感は観ているの者を、とことんやるせない気持ちにさせます。一家団欒を囲みながら表現される救いようのない疎外感、一体この家族はどうなってしまうんだろう?と誰もがその行く末が心配になるコトでしょう。たった一言のセリフ、仕草や表情、その全てが丁寧に描かれており、登場人物の誰一人として薄っぺらい描写がありません。誰でも人に愛されたいし、必要とされたいし、その温もりを感じたい。そんな単純なコトを家族の絆の大切さと共に再認識させられました。遠い昔に「一人より二人」というコピーがありましたが、やはり人と人はお互い支え合って生きているものなんだなぁ・・・としみじみと実感してしまいました。ケん・ローチを熟成したら極上の渋みが加わった!みたいな味わいでしょうか(笑)。というワケで、この映画は紛れも無い傑作であり、非常にレベルの高いホームドラマだと言えます。因みに個人的に一番近い存在はモーリンかなぁ・・・。それにしても男というモノは甘えん坊ですなぁ。あ、そうそう!この映画の原題って『All or Nothing』って言うんですねぇ。そう思うと、切羽詰ってるよなぁ・・・ボソ。


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