Deckard's Movie Diary
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2003年02月12日(水)  裸足の1500マイル ロベルト・スッコ

 中東の映画かと思っていたら、なんと監督が『パトリオット・ゲーム』や『ボーン・コレクター』のフィリップ・ノイスだと聞いて、へー!(だからナニ?)って思った『裸足の1500マイル』。豪原住民だったアボリジニを扱った映画です。本作は豪アカデミー賞を受賞したらしいんですが、それほどの映画とは思えませんでした。2400キロを逃げるんですけど、ぜ〜んぜん大変な感じがしないの!だって2400キロを歩くっつーたら、北海道から九州まで歩く!っつーコトなんですよ!でも映画の中での印象はせいぜい東京駅から八王子っつー感じ?だから、それなりに色々あるんですけど、ただのエピソードにしか見えない。ひとえに監督の力量不足!子供たち目線の大自然ショットはあるんですけど、子供たちが大自然に中にポツン・・・みたいな映像が一つもありません。ロングショットの使い方がメチャメチャ下手なんですよ。通過点でばかりで話しを描いてるから、時間が過ぎない。だから2400キロの大変さが全く出ない!というコトだと思うのですが・・・。ただ、大自然の中で聞こえてくるような音(あくまで想像)の作りは良かったですねぇ。ピーター・ガブリエルの音楽と相まって、エンディング・ロールは気持ちよかったぁ(苦笑)

 一旦会社に戻って雑用を済ませてから、渋谷にあるシアター・イメージ・フォーラム(2スクリーンで渋谷駅から離れている上に、とてもわかり辛い場所にあります)へ。小生はメインスクリーンで上映している『ロベルト・スッコ』という映画を観に行ったんですが、まだ始まる前だったのでロビー(非常に小さい・・・たぶん4畳半程度)で待っていました。そこへ杖をついたオバァチャン(独断推定67歳)が息せき切って入ってきて、「あのぉ、映画館はこちらですかい?『ノスタルジア』はここでやってるんですかい?』」って聞いたんです。『ノスタルジア』は地下2階のサブスクリーンでやってたんですけど、エレベータは無く、手すりの無い狭くて急な階段しかありません。で、オバアチャンは「アタシャ足が弱くて、これじゃぁ無理だわ・・・」って・・・立ちすくんでるんです。従業員は受付に一人しか居ないし、既に『ノスタルジア』は始まってるし、ロビーで待ってるのは『ロベルト・スッコ』目当ての人だし、それも間が悪い事に調度終ったところで入れ替えが始まってドタバタしてるし・・・で、誰もがどないする?って、頭の中が右往左往している間に、オバアチャンはあっさり帰っちゃったんですよ。あらら・・・もうちょっと何とか出来なかったんかなぁ?自分!自己嫌悪を引きずりながら映画が始まったんですが、最初はちょっと集中出来なかったんですけど、その内すっかり忘れてしまい、映画に没頭している自分がいました。思い返しても、何だかなぁ・・・と、後味の悪い経験でした。次はもう少し頑張ります!(←次はないんだよー!ばかぁ!)

 さて心落ち着かず観た『ロベルト・スッコ』(苦笑)80年代にイタリア、フランスを震憾させた無差別連続殺人犯を主人公にした映画です。この映画はダメです。チラシに「最悪な青春」「凄絶な青春」等と書かれてますが、ふざけるな!むやみに「青春」なんて言葉を使うなよ!つまりね、比類なき凶悪犯の主人公がヘタしたらカッコ良く見えますよ!どう考えたってスッコは最低な人間です。何故スッコがそのような行動を取ったのか?その答えは一切描かれません。もちろん、答えは見つからないでしょう!それでもこのような題材を取り上げるのなら、それなりの覚悟はいると思うんです。簡単に言ってしまえば「監督なら、落とし前をつけろ!」ってコトなんですよ。不愉快!ただ、観るべきシーンは車の走りです(笑)カーチェイス・シーンというとスピード感を強調する為にアップの連続になりがちなんですが、この映画は狙い(ドキュメンタリー風)でロング・ショットを多用しています。それでも十分にスピード感があり、何処へ飛んで行ってしまうのかわからない暴れるような車の走りは、ナイフのような危険な匂いを感じさせてくれます。おそらく、それは主人公の凶器のような心模様の象徴になっているのでしょう。


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