Deckard's Movie Diary
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2002年09月18日(水)  狂った野獣 千年女優 命

 76年作『狂った野獣』。フィルムセンターで観てきました。監督は中島貞夫。70年代にアメリカでヒットしたカーアクション映画の影響を受けて、安易に東映が作ったカーアクション物。ところがコレが大化けしちゃったんですねぇ。映画は絵に描いたようなパニック物なんですが、どういうワケか、庶民感覚てんこ盛りのお笑い映画になっちゃってます。銀行強盗に失敗した2人(川谷拓三&片桐竜次)が路線バスを乗っ取ったところ、そこに乗っていた連中は、なぜかバイオリンケースを持った渡瀬恒彦、婿養子の先生と生徒の母親の不倫カップル、バナナ好きの爺、チンドン屋、売春婦、売れない女優、愛猫をこっそり持ち込んだ老婆、土方(ドカタ・肉体労働者)、頭の悪そうなガキ、おまけに心臓に持病がある運転手。どう引っ繰り返っても乗っ取り犯には気の毒な面々なのです。そんなワケですから、ガキは窓からオシッコするし、鶴瓶は若者に人気のディスクジョッキーだし、三上寛は「何でもいいからぶちこわせ」とアジってるし、川谷拓三は渡瀬と土方にフクロにされた後、乗客同士の喧嘩を仲裁し、挙句の果てに「南国土佐をあとにして」を絶唱。室田日出男はバスにしがみついた後、ダーティ・ハリー宜しく、歩道橋の上からバスの屋根にダイブしちゃう白バイ警官だし、渡瀬に至っては自分で自分の首を絞める迷演技を披露。無駄なカーアクションも豊富で見所満載。70年代アナーキズム丸出しの傑作に仕上がってます(笑)それにしても、市井の民というのはしたたかですなぁ。 因みに、同時期に出演者もストーリーもほとんど被ってる深作欣二の「暴走パニック・大激突」ってのもありますが、こちらの方がおバカです。

 あのドリームワークスが全世界配給をするらしいジャパニメーション『千年女優』。監督は『パーフェクト・ブルー』(未見)で注目された今敏。まず、この手の作風が好きです。時空物というか、夢と現実が入り混じって構成されたストーリー展開。かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子の秘められた恋物語を3つの柱から謎解きしていきます。今現在の自分、女優として出演した映画の中の自分、そして実際に生きてきた過去。ラストにこの作品を決定づけるセリフが用意されていますので、そこで「嘘よねぇ〜!」ってなっちゃっう人もいるでしょう(苦笑)個人的にはOK!でした。ナンテタッテ「千年女優」でしょ(笑)逆に、そのまま綺麗に終ったとしたら、運命の人との出会いのエピソードが弱いです。そういう意味ではどっちつかずのところがあるってコトでしょう。まぁ、最後の言葉を納得させるほどの女優としてのカリスマ性を感じさせてくれれば良かったのでしょうけど・・・結局は、策に溺れたってコトかな・・・ボソ。

 100万部突破の柳美里のベストセラー『命』。江角マキコは、もっと映画に出て欲しい女優の一人ですし、13キロ減量に挑戦した豊川悦司も見たかったし、監督の篠原哲雄の前作『はつ恋』も好きでした。でも、映画はダメでした。二人(東由多加と柳美里)にあてるスポットライトの場所を間違えてます。やたら綺麗な二人の関係を見せてるだけで、何が何だか全くわかりません。観たかったのはもっと前半なんですよ。闘病生活なんて興味ないもの!そんなコトより、何故に二人は惹かれあい、これだけの関係に至ったのか?ある意味運命の人ですからねぇ。10代の頃から10年以上も同棲に近いコトしてたんでしょ?その辺りはほとんど無視!ま、テレビの2時間ドラマ風です。さぁ、泣いて下さい!っつー感じ?ただ、個人的には赤ちゃんを育てているところは懐かしかったなぁ・・・ミルクとか風呂とか(苦笑)


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