Deckard's Movie Diary
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2002年02月06日(水)  ダブル・タップ カンダハール ピアニスト

 今日は映画の日〜♪ というワケで1発目は『ダブル・タップ』。この映画はイイです。でも惜しい!それは、傑作になっていた可能性が十分に感じられるからです。競技で何年も続けて優勝しているガンの名手がある時、仕方なく人間を射殺したコトから、歯車は狂っていくのですが、きっかけの描写がヌルいので、イマイチその気分がワカリマセン。その辺りがちょっと弱いんです。動物でも人間でも相手を殺傷する為に銃を撃つという行為は人間にとってとてつもないプレッシャーを与えるようです。『ディア・ハンター』でも描かれていたように、その1発で人の性格まで変えるものなのかもしれません。この映画は。その辺りを狙っているんでしょうけど、その狂っていく過程の描写が弱すぎるんですねぇ。もったいない!

 『ダブル・タップ』から、そのまま7Fの『カンダハール』へ。色々話題を提供した映画ですが。内容はカンダハール近辺の様子がワカッタだけの映画でした。モフセン・マルマフバフ監督作という気持ちで行くとガッカリします。映画としては気の抜けたコーラのよう。

 ラストは銀座で『ピアニスト』。カンヌ映画祭グランプリ。あの『ファニー・ゲーム』で小生を激怒(笑)させたミヒャエル・ハネケ監督作。基本的に日記にはネタバレをしない主義なのですが、今回はネタバレします!

                  ★

 「ぼくは あなたが どんなに哀しい 秘密を持っていても 愛しています」というのが、この映画の宣伝文句。でも、コレは真っ赤なウソ!その「哀しい秘密」と呼ばれているのはイザベル・ユペール扮するエリカの性癖のコトで、それはマゾ性です。美貌の青年ワルターは年上のエリカに求愛するのですが、彼女の秘密を知って・・・。この映画は『SM』を歪んだモノと捉えています。エリカは母親の過剰な愛に応えんが為に、男性と普通に付き合えなかった女性として描かれており、『SM』は、そんな不遇な状況で身についてしまったようなオカシナ性癖と描かれています。見世物としてはヨク出来た映画なのかもしれませんが、世の中にはエリカと同じような性癖に苦労している人も少なからず居るというコトを忘れて欲しくありません。どのような家庭環境がそのような性癖を生むのか知りませんが、少なくとも「病気」だとか「変態」とか言っていいものではありませんし、現実に『SM』癖を持つ人々は相手を見つけられず、とても苦労しているという事実もあります。また相手に話した方がいいかどうか悩んでいる人たちもいます。そんな人々がこの映画を見たら・・・。哀しいのはエリカの秘密ではなく、人と違った性癖を持っているだけで、まともに相手にしない人たちの事じゃないでしょうか。エリカの手紙を笑い、道具を笑った人々は、もう一度考え直して下さい。もちろん『SM』が出来ないコトは構いません。ただそういう性癖の人々を認めて、普通に接して欲しいだけです。本当に愛しているのなら、少しくらい努力しろ!とも言いたいです。もちろん一般的な性癖の持ち主のワルターの戸惑いもわかります。でも、自分が愛した相手だからこそ、もっと優しく接して欲しかった。分かろうと努力して欲しかった。実際そのような夫婦もいます。努力した上で悲恋に終わってもいいのですが、この映画のエリカは最初から変態扱いされ、間違った暴力を振るわれ、笑われて終わります。この結末は哀しすぎるし、ある意味マイノリティへの迫害ともとれる映画でした。人は人の数だけ個性があるというコトを、もう一度考えて下さい。あまりに人の気持ちを無視した暴力的な映画、それが「ピアニスト」の正体です。


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