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2002年04月02日(火) 点子ちゃんとアントン

きょうは、アンデルセンの誕生日(1805年)に因んで、
国際こどもの本の日だそうです。
昨年の今日もこのネタで、
ロアルド・ダール原作の映画化『マチルダ』を御紹介しましたが、
今回は、ドイツが生んだ偉大な児童文学者のこの作品の映画化を。


点子ちゃんとアントン Punktchen und Anton
1999年ドイツ カロリーヌ・リンク監督


『ビヨンド・サイレンス』で、
その才能の輝きを驚きをもって迎えられた、
才女カロリーヌ・リンクの監督作品です。
原作は、エーリッヒ・ケストナーの同名作品ですが、
この映画は、大分現代風にアレンジはされているものの、
スピリットはきちんと生かされていると思います。
(原作はちゃんと読んだことがないのですが、
ほかのケストナー作品から推し量るに、そうではないかな…と)

病弱な母親と自分の食い扶持を守るために、
まだ9歳の身空でアイスクリームパーラーで働くアントンと、
Punktchen「点子」と呼ばれる裕福な家の娘ルイーゼは、
大の仲良しでした。

点子は、アントン母子を助けてやりたい、
南の島の行く夢もかなえてあげたいと思っていました。
でも、お医者の仕事が忙しいパパも、
「困っている人には手をさしのべましょう」とか言って、
世界中の貧しい人を助けているくせに、
置いてきぼりの自分の娘の寂しさに気づかず、
たった1度の「問題行動」で、
その娘の親友をも単純に偏見で見ちゃうようなママも、
全くアテにならない!
大人なんてあてにしないで、
自分たちで何とかしようと奮闘します…。

ケストナーは、「飛ぶ教室」の第二まえがきの中で、
「子供時代は、上等の粉で作った甘いお菓子ではない」
という趣旨のことを書いていました。
多分、この映画(原作)のアントンが、
自身の少年時代と大分かぶるところがあったのだと思います。
(マザコンと言い切ってしまいたいほどの母思いの面も含め)

本当の意味での「童心を忘れない」というのは、
「子供時代は楽しいことばかり」「純粋そのもの」などと言わず、
言うのも辛いような思い出や、自分なりに悩んだことも忘れず、
現役の子供たちに、
デリカシーと敬意を持って接することでは?などと、
この映画を見ていて思いました。


ユリノキマリ |MAILHomePage