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2002年03月30日(土) ブルワース

先日も、ハル・ベリー絡みで触れたのですが、
本日3月30日は、ベテラン俳優
ウォーレン・ベイティの誕生日です。(1937年)


ブルワース  Bulworth
1998年アメリカ ウォーレン・ベイティ 監督


一言で言えば、「悪魔と取り引きをした政治家」の物語です。
……などと書くと、わざわざアメリカものを見なくとも、
我が国の永田町に、そういう御仁はたくさんいらっしゃるんでは
……などと思いたくもなるところですが、
悪魔との取り引きが、またとない効果を上げることもあるのでした。

1996年のビル・クリントンvs.ボブ・ドールの
カリフォルニア州における大統領予備選が絡めて書いてありますが、
実話に基づいたものではなく、あくまでブラックなファンタジーでした。

この選挙において、ビル・クリントンの対抗馬として出た
上院議員ジェイ・ブルワース(W.ベイティ)は、
はっきり言って、いわゆる泡沫候補でした。
が、選挙活動でノイローゼになった彼は、
悪徳保険屋と取り引きをし、自殺を計画します。
彼は、選挙運動期間中に、
雇われた殺し屋の手で死ぬことになっていました。

前段で「悪魔と取り引き」と書きましたが、
だから「死に神」の方が近いかもしれませんね。

けれども、自殺志願者を思い止まらせる常套句の1つ、
「死ぬ気になれば何だってできる」の名言?は、
このブルワースにも当てはまることで、
自分はもう死んだも同然と思った彼は、逆にいえば
欲もなく、また怖いものもないという状態になったので、
言いたいことは何でもズケズケと言うようになり、
皮肉なことにその潔さに、有権者の関心が集まるようになりました。

運動期間中に知り合った、美しく知性あふれる黒人女性の
ニーナ(ハル・ベリー)と恋に落ちたことで、
(この辺が、いかにも「老いてなお盛ん」なベイティらしいですが)
黒人層が置かれた現実にもじかに触れ、
彼は思いのたけをラップに乗せて訴えます。

そしてついに、民主投票の大部分をゲットし、
大統領候補として浮上したブルワースでした。
こうなると、死んでしまうのは惜しい。さあ、どうなる?

チャレンジングな役だったと思いますが、
ベイティのラップは、なかなか決まっていました。
少なくともポーズだけに見えないところに説得力があります。

「自分たちが、この国のリーダーを決めている」という
矜持を持った人々が確かにいる、
そんなアメリカらしいコメディーでした。


ユリノキマリ |MAILHomePage