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2002年03月12日(火) 變臉 この櫂に手をそえて

きょう3月12日はライザ・ミネリの誕生日だそうですが(1946年)
ちょっとピンと来るものがなかったので、
ただただ「思いつき」で御紹介させていただきます。


變臉<へんめん> この櫂に手をそえて
The King of Masks(Bian Lian)

1996年中国 ウー・ティエンミン監督


英語のタイトルを見ると、よりわかりやすいかと思いますが、
いわば「仮面王」…變臉“”と呼ばれる、
瞬時に次々と面を変える芸の達人が、
自分の後継者として、クーワーという男の子を「買い」ます。
…そうした人身売買が当然のように?行われていた、
1920年代の中国が舞台です。

が、クーワーは本当は女の子なのでした。
「役立たず」と見なされていた女だとわかると、
冷遇されたり嫌がられたりすることを、肌身で知っていた彼女は、
自分を男だと偽り、何とか變臉王に買い取られるわけですが、
あっさりとばれてしまいます。
變臉は男子にのみ受け継がれてきた芸でしたが、
泣いてすがるクーワーを不憫に思った變臉王は、
彼女と旅回りをすることにします……

エンタティンメント的には、後半に見どころが盛り沢山です。
ここで1つ1つつまびらかにすると、
そんなにいろいろなことが起こって、
全体が散漫にならないかなあと思われてしまいそうですが、
せわしいながら、よくまとまっていたと思いました。
ラストシーンの感激には、ごらんになった方なら異を唱えないでしょう。

女の子は男の子に比べ、生後すぐの死亡率も低く、
丈夫で育てやすいとよく言われます。
家のお手伝いを当然のようにこなすのも、大抵女の子です。
が、(この映画では、ちょっと趣旨が違いますが)
『赤毛のアン』のマシュー&マリラ兄妹も、
最初は働き手としての男の子を欲しがったし、
な〜んか女の子はいつもいつも分が悪いですね。
バーネット女史なんか、
『小公子』『小公女』の2冊をものしましたが、
実際辛い目に遭ったのは、『小公女』のセーラだけでした。
(『小公子』のセドリックは、アメリカでもイギリスでも幸せそうだった…)

クーワーがすさまじい逆境に耐えたのも、
結局は變臉王がクーワーを大切な子供としていとおしく思ったのも、
「女の子だったから」だと思いたいところです。
かなりの乱暴な言い方になりますが、この映画はぜひとも
中国版『赤毛のアン』のような気持ちで
ごらんいただきたいと思います。


ユリノキマリ |MAILHomePage