気ままな日記
DiaryINDEXpastwill


2008年06月01日(日) 写真あれこれ

 秋口になると、職員全員の証明写真を焼き増しする。
 意向申告書に添付するためである。この写真は、異動してきてすぐ撮影したものである。
 もちろん職場御用達のプロカメラマンなどいるはずもなく、撮影係は、我が管理課の職員N氏。「1番ヒマそうだから」という理由だけで、このお役目を仰せつかっている。そのため、写真の出来栄えと言ったら、うしろのドアノブが背景のど真ん中に写っているなどというのは、序の口。レントゲンの顎乗せ台に無理やり顎を乗せたまま写したような、上向き過ぎ、鼻の穴全開、といった同情すべきものや、どういう光の具合か、顔じゅう真っ白ファンデ厚塗り? というものまでさまざま。そこまでひどくなくとも、実物はモー少しマシなんじゃなかろうか、というものはざらである。
 それなのにN氏に対するご本人からの苦情は、今まで「皆無」といっていい。
 写真に対する苦情というのは、実際本人からは言いにくいものである。目を閉じてるとか、そっぽ向いてるとか、明らかに撮影上の不手際のある場合はともかく、人相や美醜、ちょっとした表情の良し悪しについては、いくら自分が不満足でも、「地顔」の不備を棚に上げて、撮影者のせいにするのはおこがましい……と、潔く諦めるか内心の不満をくすぶらせ続けながらも不問に付すのが一般的なのであろう。
 諦めるとしても、周囲に愚痴のひとつでも言っとかないとおさまらない人というのもいる。
 困るのは、「なんかわたしの写真、すごく変に写ってない?」とわざわざ写真を持ってきて、同意を求める場合である。
 本人の、自分の顔に対する認識と、他人から見たその人の顔に対する認識が違う場合は大いにあるもの。本人は「わたしってもっときれいなはずなのに〜」とひそかに思っているのかもしれないが、はたから見れば、実物そのもの。可もなく不可もなく写ってる。しかしここで、安易に「実物どおり写ってますよ」だの「ふつーに写ってると思いますけど」などと言っては、まずいのである。
 どのように答えてあげるのが、フォローになるのか、未だにわかりません。

 写真というのは、一瞬の姿を切り取るものである。さあ、撮りますよ、と予告されると、自分の中で、一張羅と思われる顔を瞬時に作る。あくまでも表面的なものしか写らないので、内面の憂いやら、性悪な部分、邪悪な性根までは写しださない。
 さてわたしの証明写真はというと、やや目が泳いでいるものの、物静かでしっとりおしとやか風……。
 ここにお見せできないのが本当に残念である。


TOMATO |HomePage

My追加