囚はれのシネマ日記
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| 2006年03月26日(日) |
レマン湖からエヴィアンへ |
ローザンヌ二日目。 朝食をとるホテルのレストランはわれらが部屋とはまるで違ひ、ガラス張りのベル・ヴューだつた。 窓際のテーブルにつくと右にはカテドラルが間近にせまり左にははるかアルプスが望める。 してみるとこのホテルにも眺めのいい部屋はあるはずなのだ。 私たちは部屋を変へてもらおうと思つた。 その前にカテドラルへ行つてみる。 カテドラルのうへに空は晴れ渡り、広場からは古都ローザンヌの街を見晴らすことができる。 昨夜の声はほんとうにこの鐘楼から聞こえたのだらうか。
今日は日曜日なのでスーパーも小売店もホテル周辺はすべてお休みだ。 レマン湖の船に乗つて対岸のエヴィアンへ行つてみやうと思ふ。 ホテルを出るときにフロントの女性に交渉する。 追加料金を払ふのでもつと眺めのいい部屋に変へて欲しい、と。 しかし無愛想なフロントは空室がないと言つて取り付く島もない。 ほんとうにさうなの? めんどうくさいだけなのではないの? しかしさう言はれればあきらめるしかない。 メトロが工事中なのでメトロバスに乗り昨日のウッシーへ。 初夏のやうな陽気の湖畔のウッシーは昨日よりもさらに賑はつてゐた。 なにかローザンヌ市民の集会でもあるのかと思ふほどに。 さうして私たちは一縷の望みをかけてゐた。 湖畔のホテル・シャトウ・ド・ウッシーのフロントへ行つて、今日空室があるかどうか聞いてみて、あるのならすぐさまチェック・インだ。 はたして空室はあつた。 フロントの女性は感じよく200スイスフランですが、と言ふので「OK」と答へ、部屋の鍵をもらつて3階までエレヴェーターで行きドアを開ける。 はたしてそこはロフトのやうな部屋ではあるがレイク・ヴューだ。 古いけど一応シャトウ・ホテルなんだし。 ああレマン湖がすぐそこに見えるではないの! この部屋を確保できたのだからあつちのホテルにもう用はない。 一晩分のホテル代は無駄になつたけれど。 私たちはすつきりとした気分で船着場へ行く。 そこから12時半にエヴィアン行きの船が出ることは確かめてある。 しかし12時半になつても一向に船が出る気配はない。 そもそも桟橋に船が泊まつてゐない。 遅れてゐるのかな。 エヴィアンはフランス領だからストライキかも知れない。 あれこれ考へてゐたら1時間も遅れてやうやくエヴィアンから船がやつて来た。 船はローザンヌからエヴィアンへと日曜日の行楽客を乗せゆつくりと進む。
対岸のエヴィアンに船は近づく(↓)
右エヴィアンの観光案内所も日曜なのでお休み(↓)
エヴィアンに到着して帰りの船の時刻を確認し、船着場の時計を見ると狂つてゐる。 しかも1時間も。 フランスとスイスのあひだに時差があるとも思へないし。 とりあへず帰りの船に乗り遅れると困るので、その狂つた時刻に腕時計を合はせておく。 そのうちにガイドブックを見てゐた娘が重要なことに気づいてくれた。 3月の最終日曜日からヨーロッパはサマータイムになるのだといふことに! つまり今日から時計の時刻はいきなり1時間進められるのだつた。 船が遅れたのではなくてサマータイムになつたので、この船は一本あとの船だつたのだ。 よかつた気づいて。 列車にも帰りの飛行機にも乗り遅れるところだつた。 しかしなかなか辛いなあ、と思ふ。 遊びに来てゐるはずが、いろいろと苦労してゐるんだもの。 昨日は土曜日だつたせいかスーパーもレストランも5時で閉まつてしまひ、買ひ物もできず、あやうく夕食も食べそこねるところだつたし。 エヴィアンの街はすつきりと明るくシックな印象で、とてもフランス的だつた。 南仏のエクス・アン・プロヴァンスを小さくしたやうな感じのいい町だ。 すべてフランス語で表示されてゐるし、それで事足りてゐるといふ誇りを感じる。 それはさうでせう、世界に冠たるエヴィアンを産出してゐるのだから。 私たちはやうやく探しあてたエヴィアンの泉で順番を待ち、6本のボトルをミネラル・ウォターで満たし、急いで船着場から船に乗り、ローザンヌへ戻つた。 そしてシャトー・ド・ウッシーの部屋に6本のエヴィアンで満たされたボトルを置き、こんどはメトロバスであつちのホテルに行き、荷物をスーツケースに詰め、タクシーでこつちのホテルへ移る。 フロントは若い男性に変はつてゐて「チェック・アウトを」と言ふとけげんな顔をして「明日までなのでは?」と聞く。 「別なホテルを探したので」と答へると苦りきつたやうな顔になる。 私たちは「じや、さいなら」と言つてホテルをあとにする。 できればあの無愛想な女性に直に別れを告げたかつたと思ひながら。
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