囚はれのシネマ日記
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| 2006年03月22日(水) |
そして船は行き、列車は登る |
ルツェルン2日目。 夜に雨がふつたのだらう、窓の下の敷石が濡れてゐる。 朝食は昨夜のあのレストランだが朝のひかりのなか川岸の風景もしつとりと濡れて見える。 初夏になればテラスの席で朝食をとることもできるらしい。 朝食はビュッフェ・スタイルなので生オレンジジュース・コーヒー、パン・ハム・果物、ヨーグルトなどを好きなだけ食べることができるので、わたしはここで一日分のエネルギーを蓄へておく。 朝食はなんの調理もしてないのでとてもおいしく食べることができるのに。 けふはスイスらしい風景を見るために湖で船に乗り登山鉄道に乗る。 標高2000mのリギ山へ登つてみやうと思ふ。 船は駅前の船着場から12時に出航する。 それまで街をぶらぶら散策する。 ルツェルンの街角にもやはり雪が残つてゐるけれど春が来たのだ。 フィーアヴァルトシュテッテ湖、通称ルツェルン湖へそそぐロイス川の水はアルプスの雪解け水らしく澄みきつてとても綺麗だ。 この川に浮かぶ白鳥もカモもカモメもとつても幸せさうだなあ。 カペル橋と同じぐらゐ古いもうひとつの屋根つき木橋シュプロイヤー橋を渡る(1408年完成)。
この橋の梁のそれぞれには死神などのおどろおどろしいモチーフの絵がかかつてゐる。 1635年に描かれたものでペストの大流行がテーマなので「死の舞踏」と呼ばれてゐるさうだ。 やはり「ベニスに死す」を連想させられる街だ。 そしてイエズス教会、フランシスコ教会に入つて見る。 宗教改革当時、反改革派の中心だつたルツェルンの教会はすべてカトリックだ。
12時に船着場へ行くと湖船に乗り込むひとたちが続々とやつて来る。 デッキに座ると水の都ルツェルンが見渡せ、やがて汽笛とともに出航。 このクルージングの眺めはすばらしかつた。 左手の湖畔には別荘やホテルが、右手には霧にけむる雪山がつづく絶景。 わたし達は風が冷たいので船内に入つたのだが、そこはレストランも兼ねてゐた。 レストランでは船にゆられながら静かににランチをとる人々がゐた。 そのせいか何となくカメラでばちばち撮ることがためらはれ、この絶景を撮り逃してしまつたのかも知れない。 だつて誰もカメラなんか持つてゐないし、カメラの大好きな日本人はひとりも乗つてはゐないのだつた。 船は雨月物語のやうな幻想的な風景のなかを1時間ほど進みやがてフィツナウに到着。 ここからヨーロッパ最古の登山鉄道に乗り換へリギ山頂へと登る。 登山鉄道が登るにつれ視界のすべてが雪山となる。 どんどん雪は深くなり絵に描いたやうな素晴らしい見晴らしとなる。 遠足かと思つた小学生らしき少女たちは、どうやらこの登山鉄道で通学してゐるらしい。 ぽつりぽつりと途中駅で降りてゆく。 アルプスの少女ハイジのやうに可愛らしい山小屋から通学してゐるのだらう。 運転手さんも乗客もお互ひに顔見知りらしくのんびりとした雰囲気のなか電車はゴトゴト山頂をめざす。 そして終にリギ山頂駅。 ここから山頂ホテルの展望台へ行くエレベーターがあるはずで、その山頂レストランで雪山のパノラマを楽しみながら食事ができるはず。 しかしなんと山頂ホテルへのエレベーターの扉は閉ざされ4月1日まではクローズといふ看板がかかつてゐるではないの。 が〜ん! だから観光客がゐなかつたのね。 展望台へは雪道を登れば行けないわけではない。 しかしわたし達はその準備をして来なかつた。 ひらひらスカートにフェイクの毛皮に滑るふつうの靴といふ格好。 だから1時間後の列車ではなく10分後に山を下る列車を確認してからカフェでコーヒーをそそくさと飲み下山した。 でも登山列車からの眺めはとてもスイス的うつくしさに溢れてゐたので来てよかつたと思ひましたの。 つまり深い雪の谷がしだいになだらかな緑の牧草地帯へと変化してゆく目を瞠るやうな標高差の生み出す劇的眺望のことですわ。
帰りは船がないので列車を乗り継いでなんとかルツェルンに帰着。 ほんとうにホッとする街だ、水の都ルツェルンは。 夕方までホテルで休んでからムーゼック城壁を見に行つた。 旧市街を敵から守るため1400年に完成した防護壁でスイス最長のものらしい。 そのあたりはルツェルンの高台にある高級住宅街といつた趣がある。 それは素晴らしい眺めだつた。 暮れはじめた青空の下にはるか白いアルプスがぐるりを囲んでゐる。 そして旧市街、湖がすつぽりと包み込まれるやうに静まり返つてゐた。 魔の夕食は繁盛してゐるホテルの隣のイタリアンへ行つてみた。 しかし今回は当たりで、エッグプラントつまり茄子とトマトのスパゲッティが美味しかった。 トマトのサラダも。 ただし直径30cmのお皿に山盛りの量は多すぎてあとはまたしても娘に任せる。 隣の感じのいいカップルにもそれぞれ一枚ずつ直径30cmのピザが運ばれてきたけれどあれを平らげたのかしら。
夜のカペル橋からみたロイス河畔(↓)
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