囚はれのシネマ日記
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| 2005年12月03日(土) |
トータル・パフォーマー |

クラウス・ノミの映画があることは知らなかつた。 2004年ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品 作品テディ賞受賞。 しかし「ゲイ・ドキュメンタリー部門」といふ括 り方はいただけない。 クラウス・ノミの舞台がフリーク・ショウとして 人気を集めことと同じやうに。 発売と同時にDVDを買つた。 特典映像のなかにはあの「コールド・ソング」を 熱唱するクラウス・ノミ。 宮廷道化師のやうなコスチュ−ムを着て、オーケ ストラをバックにボーイ・ソプラノを振り絞る。 このときすでにエイズに侵されてゐたのかも知れ ない。 この歌声をずつと探してゐた。 わたしはレコードを持つてゐたのに失くしてしま つたのだ。 1885年サンドリーヌ・ボネールの初主演映画 『愛の記念に』で、たしか湖にボートを漕ぎ出す シーンで使はれた歌だつた。 聴いたとたんに人を不安の闇に陥れてしまふやう な恐るべきディーバ。
 ほぼ同時にこの『完全演技者(トータル・パフォー マー)』といふ小説の存在を知る。 クラウス・ノミをモデルにした音楽娯楽小説。 いつたいどこまでがフィクションなのか狐につまま れたやうな気分のままに読みすすみ止められない。 それこそわくわくどきどき気分を持続したままで。 1980年代、ニューヨーク、ソーホーのCBGB と思はれるクラブ。 日本からクラウス・ノミに会ひに来たロック青年が 巻き込まれるカタストロフィーの始まり始まり。 ファンタジーなのにところどころやけにリアルな描 写がある。 つまりその、実体験したかのごとき妖しい描写。 アルバムのプロデューサーとして描かれるデヴィッ ド・ボウイの様子などはまるで見てきたかのごとし。 いつたいどういふ作者なんだらう、山之口洋つて。 デビュー作『オルガニスト』はクラシックを素材に したバロック・ミステリーらしい。 ちょつとはまりさうな気がする。
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