囚はれのシネマ日記
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 多田智満子歌集『遊星の人』を読む。 亡くなる前に高橋睦郎さんに詩集、句集、 歌集、能楽詞章、の四つの編集を託した といふ。うつくしい人だつた。 わたしは多田智満子さんの詩集はそれほ ど読んでゐなかつたと思ふ。 ユルスナールの『東方奇譚』『ハドリア ヌス帝の回想』の翻訳、アルトーの『ヘ リオガバルス:または戴冠せるアナーキ スト』の翻訳は読んだ記憶がある。 女性にはめづらしく鉱物的なかがやきの ある文章が印象的だつた。 その遺歌集を読むと、わたしが日々読ん でゐる現代短歌とはちがふ邦のことばに よつて築かれた作品世界であることに気 づかされる。もともと歌といふものは、 せかせかと読者に迫る吐息でも、のんべ んだらりとした生活細部の報告でもない といふことに。要は想像力の問題だけど。 ただ、わたしはもつと硬質な歌を期待し てゐたやうな気がする。
癌告知は受胎告知にてありしかな わが「子の宮」に癌を祀りて
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