囚はれのシネマ日記
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2005年04月18日(月) 受胎告知


多田智満子歌集『遊星の人』を読む。
亡くなる前に高橋睦郎さんに詩集、句集、
歌集、能楽詞章、の四つの編集を託した
といふ。うつくしい人だつた。
わたしは多田智満子さんの詩集はそれほ
ど読んでゐなかつたと思ふ。
ユルスナールの『東方奇譚』『ハドリア
ヌス帝の回想』の翻訳、アルトーの『ヘ
リオガバルス:または戴冠せるアナーキ
スト』の翻訳は読んだ記憶がある。
女性にはめづらしく鉱物的なかがやきの
ある文章が印象的だつた。
その遺歌集を読むと、わたしが日々読ん
でゐる現代短歌とはちがふ邦のことばに
よつて築かれた作品世界であることに気
づかされる。もともと歌といふものは、
せかせかと読者に迫る吐息でも、のんべ
んだらりとした生活細部の報告でもない
といふことに。要は想像力の問題だけど。
ただ、わたしはもつと硬質な歌を期待し
てゐたやうな気がする。

  癌告知は受胎告知にてありしかな
  わが「子の宮」に癌を祀りて


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