囚はれのシネマ日記
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わたしがフランス映画にめざめたのは『昼顔』だつた。 高校2年生のとき。 ずつとさう思ひこんでゐた。 けれど『恋するガリア』といふタイトルを見た瞬間に思ひだした。 高校1年生のとき級友と蒲田の映画館に『恋するガリア』を見に行つたことを。 もう名前も思ひ出せない、それほど親しいといふわけでもなかつた級友と見に行つたのは何故なんだらう。 たしか級友は2本立ての『男と女』の方をすごく見たがつてゐた。 わたしは『恋するガリア』により深い感銘をを受けた。 話の筋はぜんぜん覚えてゐないがミレーユ・ダルクの演じるヒロインと、彼女が暮らすパリといふ都会にカルチャー・ショックを受けた。 服装も生活も考へ方も行動もまるで洗練と自由の象徴であるやうな、わたしにとつては未知の、このダサい現実とは無縁の、なんと素敵な世界がスクリーンに映しだされたことでせう。 美人だけれどどことなくもつさりしたカトリーヌ・ドヌーヴより、美人ではないけれどスタイリッシュなミレーユ・ダルクが、わたしにとつてのパリジェンヌだつた。 彼女はのちにアラン・ドロンの恋人をながく勤めた。
その『恋するガリア』(1965年)が2004年11月にDVDになつたのであります。 あらためて見るとほんと他愛ないストーリー。 でも全編に流れるバッハのチェンバロ協奏曲とスウィングル・シンガーズのそのスキャットが素晴らしいし、ミレーユ・ダルクのファッションがいまもなほ新しい。 『男と女』もあのシャバダバダでわたしたちの心にふかく沁みこんだ。 つまりこの蒲田の映画館の2本立てのこころは「スキャット」だつたといふわけでした。
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