囚はれのシネマ日記
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やうやく鳥影社からイェリネクの本が届いた。 先週イェリネクがノーベル文学賞をもらつたといふ記事を読んでびつくり。 なぜならイェリネクはあのミヒャエル・ハネケの映画『ピアニスト』の原作を書いた作家だからだ。 あれはそんなノーベル賞をもらふやうな小説だつたのか? どちらかといふと変態小説ではないのか? 小説を読む気になれないほど変な映画、といふかグロテスクな映画だつた。 だからその小説が図書館にあることは知つてゐながら借りなかつた。 だから後悔した、アイ リグレット、リゴレット。 ピアニストを演じたイザベル・ユペールも、彼女を愛する学生のブノワ・マジメルもその切実の演技によりカンヌ映画賞を受賞。 もちろん監督も。 ブノワ・マジメルはまじめに自身でピアノを演奏してゐた。 まるで「まじめる」といふ動詞に変身したかのごとく。 ノーベル賞受賞の理由は「豊かな音楽性をもつ多声的な表現で描いた小説や戯曲によつて、社会の陳腐さが生み出す不条理や抑圧を暴いた」といふなんだかこなれの悪い日本語なのだけれど「豊かな音楽性をもつ多声的な表現」なんて原語でしか表現できないんではないのかしら? とは思ひつつその「豊かな音楽性をもつ多声的な表現」を読んでみたくてたまらず『ピアニスト』を図書館で予約、『したい気分』を鳥影社にメールで注文。 折り返し鳥影社から返信が来て「カヴァーと帯を増刷中なのででき次第お送りします。」 「カヴァーや帯なんかいらないからお願ひ早く送つてよ」と思ふ。 やうやく届いた本には写真↑のごとく「2004年ノーベル文学賞受賞」の真つ赤な腰巻がついてゐた。 ふいに舞い込んだ幸運に出版社は急遽この腰巻を作つたといふわけだつた。 この『したい気分』の邦訳もあまりこなれてゐず変な感じなのだけれど、原作がいかに飛躍した文体で、ことば遊びを駆使してゐるかは伝はつてくる。 オーストリアではベストセラーになつたといふけれど、こんな過激な紅いポルノのやうな小説を受け入れるオーストリアの読者つてすごいなあ。 イェリネクの本を出した鳥影社も翻訳者の中込啓子さんもすごいけど。 さういへば歌集『退屈な器』もこの出版社でしたね。
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