囚はれのシネマ日記
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2004年07月26日(月) トレド幻影




あれほどたびたび思ひ描いてきたトレド。
なのにその印象を書く気がしないのはなんなんだらう。
それはスペイン4日目。
アビラとセゴビア観光のつぎの日だつた。
アビラ・セゴビアはマドリッドから北上するがトレドは南下する。
マドリッドからトレドまでは1時間もかからなかつた。
トレド街道とはいうが日本にもよくある何のへんてつもない郊外の自動車道路だ。
やがて右前方に映画のセットのやうな蜃気楼のやうな旧市街が見えてきた。
はたして新ビサグラ門のまへには観光バスと自家用車がごちやごちやと駐車してゐてわたしはくらくらする。
たぶん陽射しのせいだ。
そして人混みのせいだ。
その日は月曜日でプラド美術館が休館のため観光客はこぞつてトレドへやつて来るといふ。
車一台がやつと通れるせまい路地へ車やバイクが乗り入れてくる。
それを除けながらまた陽射しを避けながら石畳を歩きつづけるのは疲れる。
道の両側にはゆつくり眺めて歩きたい中世の建物がびつしりと並んでゐるといふのに。
この街は冬の朝や秋の夕暮れ、人通りのない迷路のやうな路地をたつたひとりでコートの襟を立て、石畳を踏みしめながら歩くべきところだ。
小さい街なので道に迷つたらカテドラルの塔を目印にすればいいだらう。
ここは炎天下を急ぎ足で見てまはるやうな街ではない。
旧市街のホテルに2〜3泊しなければ味はうことはできないのではなからうか?
タホ河の対岸にあるパラドールからはたしかにトレドの街のすばらしい眺望が得られるだらう。
しかし遠すぎる。
カテドラルの鐘の音も届かないだらう。
その日に感じた唯一のトレドらしさはその鐘の音色だつた。
久遠の音色だつた。



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