囚はれのシネマ日記
DiaryINDEX|past|will
↑フランス・ゴシック様式のトレドのカテドラル。 スペイン・カトリックの総本山、その存在感に圧倒される。 カテドラルの聖器室にはエル・グレコの「聖衣剥奪」をはじめゴヤ、ティツィアーノ、ヴァン・ダイク、カラヴァッジョなどが所狭しと飾られてゐた。 このやうなキリスト教文化とイスラム教文化とユダヤ教文化が奇跡的な融合をなしてゐる街トレド。 残念ながらその全貌を見ることができなかつた。 迷路のやうに細い路地はたしかにユダヤ的な感じだつた。 つくづくもう一度来て旧市街に泊まりたいと思ふ。
ムハデル様式といふ言葉をはじめて聞いたのはこのトレドだつた。 サント・トメ教会の鐘楼などがさうだが写真は撮れなかつた。 「ムハデル」とはアラビア語の「ムダッジャン」がスペイン語になつたもので、800年におよぶイスラム支配から国土がレコンキスタ(再征服)されたのちも、その信仰や習慣を守りながらイベリア半島に居残つたイスラム教徒をいふ。 「ムハデル様式」はスペイン独特のものとなり、その特徴は菱形網目や多弁アーチ状に積んだレンガ、装飾の多い外壁、寄木やタイルや石膏のアラベスク模様、彩色格子天井で、それはガウディにも受け継がれてゐるといふ。 トレド名産品のダマスキナード(ダマスカスが語源)といふ彫金細工もイスラム教徒から技術が伝へられたといふ。
↑ここが『哀しみのトリスターナ』の住んでゐた家。 ドン・ロペに引き取られるまへに母親と住んでゐた貧しい家でせう。 トレドは典型的な大陸性気候で冬の冷え込みはきびしく夏は暑いらしい。 『哀しみのトリスターナ』のラストシーンは雪の夜に窓をあけて冷気を入れ、病気のドン・ロペを死に至らしめるといふものだつた。
|