囚はれのシネマ日記
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けふの東京の暑さは35℃以上はあるだらう。 なので順番を飛ばしていつきよに暑かったコルドバまで行つてしまはう。 スペイン三日目のトレドを南下するころから真夏は始まつてゐた。 トレドでもすでに太陽はぢりぢりと狭い石畳の道に照り返してゐた。 トレドからラ・マンチャを通りコンスエグラの風車小屋を見るころから、そこはすでにヨーロッパではないものに変貌してゆく。 そこはアフリカかアラブの世界かと錯覚するほどがらりと変はる。 「ピレネーを越えたらアフリカだ」とはスペインを侵略したナポレオンのことばだ。 家々の軒は低く玄関のドアに幾何学模様の布を垂らしてしづまり返つてゐる。 何のためかといへば日本のスダレのやうに直射日光をさへぎるためだらう。 人通りはまるでない。 強すぎる太陽をのがれて人々はシェスタをしてゐるのだらう。 湿度が低いので木陰に入ればひんやりとする。 とは言つても植物そのものが稀な砂漠のやうな土地なのだ。 日本の蒸し暑い夏とはかなり違ふ乾いた夏。 アンダルシアのフライパンだ。 そして夜の9時ごろまで陽射しはまことに容赦なく照りつける。 コルドバのホテルに着いたのは午後の5時ごろだつたらうか。 日向の温度は38℃と目抜き通りに表示されてゐた。 市役所の隣にはローマ時代の遺跡がむきだしに照りつけられてゐた。 コルドバは1234年のレコンキスタまでイスラム教の都市だつた。 さまざまな文化と学問が花開いた都市の名残を見ることができる。
バスも通れない旧市街の細い路地の名はアルファロス。 その通りに建つホテルの名もアルファロス。 アンダルシア風にパティオがあり絢爛豪華なロビーがある。 写真はホテルの部屋の窓の向かうの集合住宅。 どの家も鎧戸を閉ざして気だるくシェスタをしてゐるやうだつた。 わたしもシェスタをしやうとベッドに入つたけれど眠れない。 サンバイザーとサングラスをつけて暑い旧市街の散策に出かけた。 ここではだれも日照権など主張しないだらう。 むしろ日影権を要求されるのではなからうか。 日影を作るために家と家はぴたりとくつついて建てられてゐる。 さうでもしなければ日盛りの道をとても歩けたものではないのだつた。
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