囚はれのシネマ日記
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2004年06月21日(月) マドリッドの香り

マドリッドのバラハス空港に着いたのは現地時間で18時45分。
日本時間のわたしの腕時計ではもう翌日の朝の3時を過ぎてゐた。
ほとほと疲れてはゐたけれどちつとも眠くはない。
ロスト・バゲージもなく無事にスーツケースが届いてゐたのは感動的でさへある。
バラハス空港の外ははじめて見るスペインの夏だ。
バスに乗つていよいよマドリッド市内へ入るのだつた。
トレド・ナンバーの車がバスを追ひ越してゆくのは夢のなかの出来事ではないのだつた。
マドリッドの歴史は浅くて400年ほどだ。
そのため街は小奇麗で垢抜けてゐる。
なにしろレアル・マドリードとベッカムがゐる街なのだから。
ローマやパリよりもあたらしくてセンスのある町並みだと感じた。
緑が多く道路が広く街行く人はお洒落だ。
建物の窓の表情、ブラインドの色がなんとも言へず素敵だなと見とれてしまふ。

わたしたちが泊まるのは閑静な住宅街にあるグラン・ホテル・コン・デュケといふ英国風のこぢんまりしたホテルだつた。
しかし広場に向かつて建つその洒落たホテルまでの小道は犬のフンだらけ。
空気がとても乾燥してゐるので乾燥した犬のフンの匂ひがぷんぷん。
なのでわたしのマドリッドの第一印象は乾いた犬のフンの匂ひ、となつた。
ホテルの部屋は清潔に磨きあげられ芳しいコロンの香りがぷんぷん。
ベッド・カヴァーは芥子色とモス・グリーンの花模様で、それとコーディネイトされた重々しいカーテンが窓を縁取つてゐる。
家具はすべて英国調の重厚なつくりでよく磨きあげられてゐる。
バス・ルームの便器もビデも浴槽も鏡も床のタイルも、どこもかしこもピカピカに磨きあげられてまるでおろし立てのやうに気持ちがいい。
洗面台にはサルビアのやうな白い花が一輪、ようこその意をあらはしてゐる。
わたしはこのホテルが一目でたいそう気に入った。
マドリッド滞在中はここで3泊することになる。
さつそく浴槽にお湯を満たして西洋風な入浴をしてベッドに入る。
でもすぐに眠れるものでもない。
なにしろこんな遠く日本を離れてマドリッドのホテルでひとり眠りにつこうといふのだもの。


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