囚はれのシネマ日記
DiaryINDEX|past|will
母なるロシアの大地はとにかくすごく広かつた。 ウラル山脈を過ぎサンクトペテルグルグに近づくとやがて北欧だ。 リアス式海岸のやうなギザギザの海岸線とペパーミント・グリーンの海の色が雲間に見え隠れするやうになる。 これがフィヨルドなのかな。 いつか北欧の夏にフィヨルドのクルージングを体験してみたいと思ふ。 ヘルシンキを過ぎボスニア湾を渡りストックホルム、デンマーク、そしてアムステルダム到着だ。
飛行機が高度を下げて着陸の態勢になるとアムステルダムがくつきりと近づいてきた。 しつとりと緑と水にあふれるうつくしい都市だ。 海から運河をひいていたるところに池のやうな溜池のやうな水たまりがある。 ゆゑに植物のみどりみどりが滴るばかりに目に沁みる。 アムステルダムでの乗り換へ時間はあまり余裕がない。 広い空港のなかを急ぎ足で歩むといたるところで香水の匂ひがする。 免税店のクリスチャン・ディオールが香水を撒いたのかもしれない。 わたしたちはさらにKLMオランダ航空を乗り継いでマドリッドへ向かう。 空港の時計は15時30分をさしてゐる。 でもわたしの腕時計は日本時間で22時過ぎをさしてゐる。 東京のわが家を出てからはもう16時間。
アムステルダム発16:10マドリッド着18:45。 またしてもKLMオランダ航空。 しかしこんどは通路側の席だつた。 添乗員のSさんはわたしに窓側の席でいいかどうか尋ね、希望どほり通路側に変えてくれた。 頼りになる人だ。 この飛行機でもさつそく軽食が出た。 その軽食とは大きな丸パンにハムかチーズのどちらかが挟まつてゐるだけのシロモノだ。 野菜のきれはしさへ挟まつてない。 しかもわたしたちの列にはそれを配り忘れたらしい。 大柄なスチュワーデスがふたり何か真剣に議論しあひやがて「サンドイッチはまだ来てなかつたか?」と真剣な顔つきで聞いて回る。 そうかあれをサンドウィッチと呼ぶのか。 わづか2時間のフライトの間、スチュワーデスはジュースだのクッキーだのキャンデーだの絶えずなにか食べさせやうと回つてくる。 そして乗客(日本人を除く)も絶えずなにか食べてゐる。 だからみんな牛のやうな極太体形になつてしまふのね。 わたしはスペインに降り立つ前にすでにその秘密を知つてしまつた。
|