ひとりアライグマ同盟バナ 朶話事 たわごと

目次最新来し方行く道


2002年08月18日(日) 覆面作家は残念だ

最近深夜に起きていない(PCが使えない)ので、いわゆるチャットというものに縁遠くなった。
日曜の朝など、方々で前夜のチャットの残骸を見かけると、何となく取り残された様な気分で、
かなり寂しい。難しいものである。

***

とってもカレーが食したかったので、ココイチにでも…と思っていたのに、
雨で出鼻を挫かれました。ちょっと残念。

いつぞや前を通った時に見た“カレー冷やし中華”(みたいなメニューだった)が
非常に気になっているのですが、期間限定だと思うので、もうやってないかもしれません。
何とか食べたいのだけどなぁ…。

 +++

昨日はマーボ豆腐を食べました。
汗だくで熱いものを食べたい気分が続いている様です。
いや…“カレー冷やし中華”は熱くないとは思うけど…。

***

最近続けて読了の本

・北村薫「覆面作家は二人いる」「覆面作家の愛の歌」「覆面作家の夢の家」角川文庫

 麗しいタンテイさんが活躍する短編ミステリのシリーズである。

 北村薫という人は、やはり上手いと思う。
 設定にしてもトリックにしても、時にギリギリご都合主義的かな…
 みたいな部分があっても、決して無理の無いものを造っている。

 こちらはミステリ初心者で、挙げ句記憶力が良くないから、伏線は忘れる、
 ちょっと複雑なトリックだともう何が何やら…という人種なのだが、
 そんな読者にでも納得できて、その上結構意表を突かせる謎解きをしてくれる。

 日常のどこにでもありそうな風景や、ちょっと条件が整えば簡単に陥りそうな勘違い、
 そんなもの達をトリックに使っているから、尚更「おぉ、そうだったのか!」感が強い。
 そして何より、全編に渡る北村らしい優しさが、安心感を呼ぶ。

 と、ほぼベタ誉め状態なのだが、「私的には」ただひとつだけ、
 どうしても納得できないものがあって、最初から最後までそこに引っ掛かってしまったが故に
 全体的な良さを完全に半減させられてしまった。
 北村の力量なら、この一点をどんな方法でも違和感無く納得させられるだろうに、
 何故? と、残念でならない。
 そこがクリアされていれば、かなりの人にお薦めできるのにな…。

 以下それがどの部分かの説明。
 ネタバレになるので、しばし改行の上文字を背景色で記述します。
 ネタバレて良いという人だけ、下記「」の下を反転して見てください。
 それより下には新規の日記はありません。



















               
 以下、私が非常に引っ掛かってしまった部分。

 それは、千秋さんの2つの人格が、物語の中で一番大きな設定であるにも関わらず、
 あまりにも唐突で不自然で必然性が無いという事である。
 
 お屋敷…という「物」の内と外、というだけの条件で、本人の意志に関わらず
 人格が変わる…というのは、病理である必然があまりに希薄だし、
 もし仮に病理だとしたら、本人あんなに天真爛漫・あっけらかんとはしていないはず。
 
 そしてもうひとつ、その千秋さんの特質が、事件やその解決に本当の意味では
 ほとんど関係していない…という事。
 良介・優介のA面B面に関しては、時に犯人やその他の人物達のミスディレクション
 を誘っている部分があって、その必然性に違和感は無い。
 けれど、物語の中でたったひとつ、非日常的な千秋さんの設定だけは、
 単にエキセントリックなキャラを作る…その為だけに終始している様に思えてならない。

 他のほとんどの部分において極めて日常性を守り、誰にでも納得ができる
 自分の隣でも起きていそうな事件やトリックを作りながら、千秋さんの
 設定だけが特異で説明無しなのが、あまりに浮き過ぎて悲しかった。
 どんな説明でも良い、誰にでも納得のできる説明があれば、本当に楽しめる
 素敵な作品になっただろうに…、そう思うと、やはり残念でならない。


目次最新来し方行く道
 mailhome@sub_racoonbooks/moviephoto