一日後記

2009年05月01日(金) 意外な武器。

所用で、お昼から実家。

母との会話の中で、ふと母方の祖父の話になった。
だいぶ前から家でほぼ寝たきり状態ではあったのだが
実はここのところ入院生活を余儀なくされている。
とはいえ頭はしっかりしているので
超がつくほどのワガママなのは相変わらずらしい。

もう一つ、しっかりしているのは頭だけではなかった。

90歳のこの祖父、歯は殆ど抜けたりすることなく全部自前で
(半年年上女房の祖母は、とうの昔に入れ歯である)
50代までお酒の王冠を歯で開けて見せたり
60代になって生まれて初めて歯医者に行ったというツワモノ。
そういえば20年近く前、まだ足腰も弱っていなかった頃
祖父がよく私に言っていたことの一つは
『小さい魚なら頭から骨ごと食え』であった。

その武器、もとい丈夫な歯は
点滴を引き抜くことなどを防止するためにはめる“保護手袋”
(5本指全部をひとつの袋に収める形になっている)までも
夜中食いちぎってボロボロにしてしまったという。

何かを手に取ろうとしたら手袋のせいでうまくいかず
癇癪を起こした結果なのだそうだ。
もっとも『うざったいから』と点滴を引き抜いたのが
手袋をはめられた発端だから、ある意味自業自得というもので。

しかし鍋つかみミトンくらいの厚さくらいありそうなそれを
まさかそんなおじいさんが食いちぎるとは、誰だって思わないだろう。


それを半ば呆れながら話す娘(母)に対し、苦笑しながら聞く孫娘(私)。

祖父とそれぞれの関係は、こんなところに出るのかなと
帰り道に車を飛ばしながら一人考えていた。



 < 過去  INDEX  未来 >


Haruki [MAIL] [HOMEPAGE]