Experiences in UK
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2006年04月03日(月) 第138週 2006.3.27-4.3 パットニーがブルーになる日、こどもの英語教育

ロンドンの春も三寒四温でやって来ます。先週終わりから再び少し肌寒くなってきており、予報によると今週のロンドンは「三寒」に当たるようです。

(パットニーがブルーになる日)
毎春恒例のオックス・ブリッジ対抗のボート・レース大会が、2日(日曜)、今年もパットニー・ブリッジを起点にして開催されました(昨年の様子は、05年3月28日、参照)。この日のパットニーの街は、外部からの多くのビジターを迎えてはなやいだ雰囲気に包まれます。

ボート・レースの日程とあわせて街の多くのパブでは、パットニー・ミュージック・フェスティバルなる企画が行われます。それぞれのパブやバーで音楽の生演奏などが行われ、スペシャルな感じになるようです。なぜこの時期にこのような企画があるのか、ずっと不思議でした。
今年このフェスティバルに潜入取材してきた妻の報告から、同企画開催の背景が判明しました。レース後の近隣パブは、どこも普段は見かけない雰囲気の若い男女でごった返していたそうです。彼らは、オックスフォードとケンブリッジの学生ないしは関係者らしく、レースの応援のためにパットニーにやってきて、そのまま盛り上がっていたそうです。彼らに盛り上がる場を提供するというのが、このフェスティバルの実情でした。

妻と一緒に潜入してきた義弟が、たまたま濃いブルー(ダーク・ブルー)のマフラーを着用していたところ、見知らぬ若者から「君はオックスフォードの卒業生か?チアーズ!」と声をかけられたそうです。ダーク・ブルーはオックスフォードのシンボル・カラーであり、ライト・ブルーがケンブリッジのシンボル・カラーとなっているためです。話しかけてきた相手はケンブリッジの学生だったらしく、今年のレースがオックスフォードの勝利に終わったため、祝福の言葉をかけられたという次第です。
義弟はオックスフォード卒業生でもサポーターでもなかったため、気まずげに説明したそうです。改めて周囲を見回すと、店内にはライト・ブルーの色が目立ち、どうやらそこはケンブリッジの関係者がたむろしているパブだったようです。

ロンドンで普段お目にかかれないオックス・ブリッジの学生たちの生態を効率的に観察するには、ボート・レース後のパットニーの街に繰り出すのがいいのではないでしょうか。

(ロンドン市内観光バス)
ロンドン都心部には、海外主要都市と同様に、市内観光のための巡回バスが走っています。先週土曜日、当地に来て初めて市内観光バスに乗ってみました。
ロンドンには同様の観光バスが二系統走っているのですが、今回我々が利用したのはオリジナル・ツアー社の方でした。どちらも概ね同じようなサービスを提供しています。料金が18ポンド、チケットは24時間有効、市内主要観光スポットを巡回しているバスに乗り放題で、バスには日本語を含めたオーディオ・ガイドが付いているという内容です。同じチケットで、バスのみならず、テムズ河リバー・クルーズなどにも参加できます。

各観光スポットについては、さすがになじみのある場所ばかりで新味はなかったのですが、オープントップの二階建てバスに乗ってのんびり市内を回るのは気持ちのいいものでした。
一回だけ途中下車して、行ったことのなかったロンドン・ダンジョン(ダンジョンは地下牢という意味)に立ち寄ってみました。「かなりリアルで大人でも怖い」という評判も聞いていたのですが、びっくりして楽しむお化け屋敷系のアトラクション施設でした。「料金(16ポンド)との見合いで話のネタとして行く価値を検討する場所」ということでしょう。子供だましの施設ではありますが、内部はかなり暗くて、長時間かかるので、小さなこどもは連れていかない方がいいでしょう。

(ある日本人のこどもの英語)
ある日の通勤バスでの出来事。
途中の停留所で、日本人らしき感じのお母さんと女の子(四〜五歳)が乗りこんできました。彼らは私の斜め前の座席に座ったのですが、しばらくして、聞こえてくる女の子の声が英語であることに気づきました。立派なネイティヴ風のこども英語です。
「ほー」と思い、様子をうかがうと、お母さんはナンシー関のでっかい挿絵が入った文庫本を読みながら女の子の相手をしていました。そしてお母さんの方は、もっぱら日本語で女の子に話しかけていました。女の子は日本語も理解しているようでしたが、本人が話すのはあくまで英語であり、はた目にはまったく奇妙な光景でした。

実は二人は親子ではなくて、大人の女性はシッターさんのような方だったのかもしれません。それにしても、あんなに完璧なネイティヴの英語を話す日本人の女の子はどういう家庭環境で育っているのだろうと色々と想像してしまいました。

(長男の英語)
うちの長男はバスの女の子と同年代ですが、あんな完璧な英語は喋れません。それでも、恥ずかしながら最近知ったのですが、長男(四歳)の英会話の上達にはびっくりです。
地元の小学校(レセプション)に昨年秋から通い始めてちょうど六ヶ月が経過し、先週金曜日に二ターム目が終了しました。学校生活は、特に問題なく過ぎているようで、英語ができないなりになんとかうまく溶け込めているのかなと思っていました。
しかし、彼の英語力は、私の想像以上に進歩していたようです。

先日、長男が知り合いの英国人(大人)と会話をする様をしばらくそばで見る機会があったのですが、会話の反射神経という点でははるかに我々(両親)を凌駕していました。頭の中で英作文の作業をするようなことなく、普通に会話のキャッチボールを交わすことができるようになっていたのです。文法的には必ずしも正確ではなく、語彙も少ないのですが、相手の言うことを理解し、コミュニケーションをとるという点において、適切な言葉がよどみなく出てくることにびっくりしてしまいました。
聞くところによると、クラスでは挙手して発言したりもしているようです。まわりと比べて下手であっても、我々と違って英語で会話することへの抵抗感のようなものが少ないのでしょう。
土日を除いて毎日6時間、英語だけの世界でサバイバルしてきているのですから、このくらいできるようになるのは自然なのかもしれませんが、たいしたもんです。

(こどもの英語教育)
日本人駐在員で子供の言語教育をどうするかという点については、様々な意見があります。中途半端に英語の環境に置くよりも、日本人学校などに通わせてきっちりと日本語を学ばせる方が将来的に有益だとか、学校では英語でいいけど家庭では完全に日本語環境にして、親が英語を教えることもやめるべきだとか、あるいは小さいうちに英語漬けにして(可能であれば家庭でも英語を話すようにして)しっかりと覚えさせることが将来への財産になるとか、色々です。

うちはどうかというと、学校は完全に英語の環境にあり、家庭でも日本語と並行して英語を積極的に教えるようにしています。言語教育という点については、どの考え方が正解なのかよく分からないので深く考えていないのですが、我々は地元のこどもたちとのコミュニケーションの機会がなるべく多くなるようにさせたいということに一番のプライオリティを置いています。その目的を実現させるためには英語もできた方がいいという意味で、家庭でもできるだけ教えるようにしてきました(というか、そうなってきました)。

ロンドンの公立学校は多様な民族構成になっていて、彼らとの交流は長男にとって掛け替えのない体験になっているように思います。英語が達者になるかどうかよりも、地元の子供たちと言葉の面で臆することなく対等に付き合って、色々なことを吸収して欲しいというのが我々の願いです。


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