Experiences in UK
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2005年03月28日(月) 第85週 2005.3.21-28 パットニーのフレンチ・マーケット、ボート・レース見物

先週金曜からのイースター四連休を終え、英国はいよいよ待望のサマー・タイムに切り替わりました。

(パットニーのフレンチ・マーケット)
パットニー・ブリッジの南側(パットニー側)のテムズ河沿いは、古い英国と新しい英国が共存したなかなかお洒落な街並みになっています。
橋を中心にして西側は、古い英国の街並みが続いています。河沿いにボート・ハウスがずらりと並んでいて、休日には自家用ボートを漕ぎ出してレジャーを楽しむ人々がいます。桟橋もあって、遊覧船も発着しているようです。ボート・ハウスを横目に河沿いの道を進むと児童公園があるので、我々は時々こどもを連れて出かけます。干潮時には、川の畔まで下りて水鳥と遊ぶこともできます。
東側の河沿いは、近代的な街並みに開発された地域となっており、こちら側はパットニー・ウォーフとちょっと格好いい名称で呼ばれています。日没後にブルー系のライトが灯る高級マンションがこの界隈の新たなランドマークです。マンション近辺はここ数年で急速に開発が進み、とりわけポッシュな(お上品な/ハイソな/お高く止まった)雰囲気に満ちています。しゃれたパブやレストランが出店していて、きれいに整備されたテムズ河沿いの遊歩道は、カップル、家族連れ、老夫婦などで休日はいつも賑わっています。

そんな東側の一角では、月に数回の頻度でフレンチ・マーケットが開かれます。先日、冷やかしに出かけたところ、パン屋、チーズ屋、ソーセージ屋など十店ほどの屋台が出ていました。
私はいの一番にワッフル屋さんに立ち寄って注文しようとしたのですが、売り子の気の良さそうなおばちゃんに、最初の”Excuse me?”を完全に無視されてたじろいでしまいました。このおばちゃんは、わざわざ英国まで出稼ぎに来て英語を無視する偏屈なフランス人だったわけではなく、単純にわからなかったようです。その後、ぎこちないやり取りの挙句に支払を済ませ、別れ際に「メルシー」と言ってあげると、にっこり笑って「メルシー」と返してくれました。最後くらい「サンキュー」で返せばいいのに。

一番の人だかりだったクレープ屋さんで我々の目を引いたのは、クレープと共に売られていたガレット(Galette)なる食べ物でした。私は初めて目にするものでしたが、一回り大きなクレープ生地のようなものの中に野菜やらチーズやらを入れて焼く食べ物で(見た目は少し大きなクレープ)、製作過程を見ていると英国ではとても見られないような繊細な作り方をしていたので、試しに食べてみました。生地はもちもちした食感で、味もやはり英国的なるテイストから遠くかけ離れたフランスらしい繊細なおいしさでした。
こういう食べ物はこの国にはないよなあ、と改めて強く実感した次第です。

(パットニー近辺のポッシュな店)
パットニー・ウォーフは、パットニーでもっともポッシュな地域のひとつですが、パットニーとその隣町のウィンブルドン自体が「ポッシュな地域」だ、とよく英国人に言われます。確かに、白人が非常に多い地域ですし、とくにウィンブルドンは瀟洒なお屋敷がたくさん立ち並んでいます。

近所にある代表的なポッシュな食材店のひとつであるBayley & Sageは、うちから車で10分のウィンブルドン・ヴィレッジにあります。こだわりの食材(肉、野菜、ケーキ、ワイン等々)や惣菜類だけを取り揃えて売る店で、どれをとっても値段も大変にご立派なのですが、私はここで売っているベーグル(£3)にすっかり魅了されてしまっています。朝10時半頃に店頭に並ぶベーグルと飲み物を買って、天気のいい日に筋向いのウィンブルドン・コモンでブランチをとるというのが、最近のちょっとだけ贅沢な休日朝の定番になっています。

もうひとつ、つい先日、パットニー・ハイストリートに出店してきたフランスのケーキ屋さんMaison Blancもパットニーのポッシュ度を引き上げました。我々がロンドンに来たばかりの頃、サウス・ケンジントンにある同店のケーキを時々堪能していたのですが、この店が近所に出来たのは我々にとって予期せぬグッド・ニュースでした。
親しくしている近所のフランス人家族も大喜びで、早速、パンやらなにやら買い込んでいたそうです(うちもですが)。

(ボート・レース見物)
日曜、パットニー・ブリッジを起点にして、オックスフォード大学とケンブリッジ大学との学生間で競われる伝統のボート・レース大会が開催されました。昨年は残念ながら見に行けなかったのですが、今年は見物に出かけてみました。
オックスフォードとケンブリッジのスポーツ対抗戦では、ボートに限らず、両校メンバーはそれぞれのシンボルカラーであるダーク・ブルーとライト・ブルーのユニフォームを着用します。そして、両校の対抗戦に出場した選手には「ブルー」の称号が与えられます。ラグビーの世界では、元神戸製鋼・主将の林敏之氏が、オックスフォード大学への留学中にケンブリッジ大との定期戦(バーシティー・マッチ)に出場して「ブルー」の称号を得ています。
この日、パットニー・ハイストリートの街灯にはそれぞれの色の風船が飾られ、お祭りムードを盛り上げていました。

このボート・レースは今年が151回目の大会で、テレビ中継も入る国民的行事になっています。実際、パットニー・ブリッジの上とテムズ河沿いには鈴なりの観衆が集まり、沿岸には大画面テレビまで設置されていました。
オックスブリッジとは縁もゆかりもなく、ボート・レースへの興味も薄い我々は、単なるお祭り見たさの野次馬でしたが、たかだか大学対抗のボート・レースにこれだけの人々が入れ揚げている様は不思議なものでした。両校の関係者は、せいぜい観衆の数%程度かと思うのですが・・・。

今年は、ダーク・ブルー(オックスフォード)の通算72回目の勝利で大会は幕を閉じました。勝ったクルーは、恒例ということでテムズ河に飛び込んでいましたが、寒いなか、お世辞にもきれいとはいえないテムズ河に飛び込むのは(もう数マイル遡るときれいなのですが)、見ていてちょっとぞっとするものがありました・・・。


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