明後日の風
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2011年04月16日(土) しょうゆ煎餅の効能

 4両編成の電車が奥多摩駅を目指して走っている。
 今日のメンバーは4人。それぞれにこの列車のどこかに乗っているはずなのだが、果たしてどうだろう。始発に乗車した僕は、朝の早さも手伝って、ロングシート端でザックを抱えてウトウトしながら、カーブの度に変化する日差しのまぶしさに時折起こされつつ、山深くなっていく景色を眺めることになる。
 奥多摩駅に定刻に到着。ここからバスに乗り、登山口の奥多摩湖に向かう。
「右カーブです、左カーブです」
と忙しく案内してくれるとても親切な運転手にハンドルを託し、15分ほどで終点奥多摩湖に到着。

 ダムの貯水量は渇水期のゆえに少なかったが、桜は満開。日差しも強くなってきて、絶好のハイキング日和となった。




 御前山への道は、取り付きからすぐさま急登となる。登るに連れて視界は広がり、眼下の奥多摩湖のブルーが広がってくる。1,000m近い標高差は決して楽を許してはくれないのだが、眺望が最高のカンフル剤になる。


 勾配はあるものの広くて歩き易い道に、我々は軽快に進んでいく。カタクリの群落が登山道の両側に続くというのが有名なのだが、春の訪れの遅かった今年は、まだまだ花には程遠い。時折、日差しの中に紫色の美しい花を咲かせていた。とぼけたカタクリ、というところだろうか。

 2時間少しで山頂に到着。数組のパーティーがランチタイムを楽しんでいた。
 登山初心者の某くんは、登山の休憩の時から菓子パンばかり食べている。
「パンばっかりだねぇ〜」
と尋ねると
「甘いものがいいと思って、パンばっかり買ってきました。しょっぱいものが食べたくなるんですね。失敗しました・・・。唐揚げおいしそうで・・・。」
隣の御仁が食べていた「唐揚げ弁当」がさぞかしうまそうだったのだろう。
見かねたリーダーが、「しょうゆ煎餅でも食べる」と一言。初心者君、恵みの「しょうゆ煎餅」をおいしそうに頬張っていた。

 
「気持ちいいですねぇ〜」
という言葉が広がる。まあ、皆で歩いて来てよかったな、と思える春の一瞬だ。


さわ