明後日の風
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2011年04月10日(日) なめこ汁

 気分のいい日曜日。
 久しぶりに登山靴に足を通し、ザックを担いで山に向かう。
 田圃の畦道を舗装したのではないか、と思われる裏道を、「何か新たな発見でもあるんじゃないか」という期待感を持って駅まで歩く。
 古い民家の渋い軒先と満開の桜のコントラストに、思わずシャッターを切ったり、少なくなった都会の畑の道のタンポポに「春」を実感したりと、15分あまりのお散歩も悪くない。

 駅前のコンビニで、いつもの山歩きセットを購入する。鮭とおかかのおにぎりの入った弁当に、チョコレートとお茶、というものだ。
 春の日差しにうとうとしていると、列車は終点の高尾山口駅に到着した。




「どこまで歩こうか」
日暮れと相談しながら、歩くつもりで、いつもの稲荷山コースに取り付く。高尾山には、いくつもの道筋があるのだが、舗装路は嫌いだし、谷の川筋の道はこの時期にはやや寒い。なんとなく、いつもこのコースを歩くことになる。

 ほどなく鎮座するお稲荷さんに手を合わせ、快調に進んでいく。震災の影響か外国人はほとんど見かけることがなく、昔の静かな高尾山に戻っていた。
 最後の急な階段を登ると、山頂。


「十三州大見晴台」
なんども高尾山には登っていたのだが、こういう大仰な名前をお持ちだとは全くしらなかった。
 
 これから、僕は先に進む。
 奥高尾。ほとんど人は、ここ高尾山頂で引き返してしまうのだが、この先こそ、静かな山歩きが楽しめる。

 城山、小仏峠と過ぎて、すれ違う人も少なくなり、僕は最後の急登を登り景信山へ。そろそろ日も傾き、店じまいという感じの茶屋で、なめこ汁を注文する。おにぎりには、このほんのりと七味の効いたなめこ汁が絶妙にうまい。
「どちらから?」
と言う主人に
「高尾山から歩いてきました」
「京王線も普通に走っているの?」
「そうですね。大丈夫です。」
「高尾山は混んでいた?」
「まずまずです。ついこの間のような大混雑ではないですが・・・」
「そう」
と少しばかりやりとりをした。
 こんなやりとりができるのも、静かな奥高尾ゆえと言えるだろう。


さわ