明後日の風
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金沢の一室で、私はテレビに釘付けとなった。 「これは、おかしい」 あまりに長い周期での揺れを感じた僕は、会議を止めて、テレビのある部屋へと移動したのだ。
「大津波警報発令」 テレビ画面には、10mという、およそ想像ができない数字が並び、これからそれが目の前で現実になるとはとても思えない、そういう、不思議な気持ちのアンバランスを感じていた。
これまで、東京からのドライブで何度となく訪れた三陸海岸。 花巻から山を越えてたどり着いた釜石の魚市場の食堂も、夕方に寿司屋を探して回った気仙沼も、僕が買い物をした八戸港のコンビニも、そして、昨年はじめて訪れた宮古の町並みも、僕の目の前で波にのまれていった。
1年前の春。 僕は、古川で車を借り、気仙沼、大船渡、釜石、宮古と巡った。最近延びてきたハイウェーは高台を通り、そのハイウェーに囲まれるように、沿岸の町がつながっていた。青い空に青い海、そして山の緑。そこに囲まれるような町には、「育まれた」という言葉が実感のものとして存在していた。
「この記憶を将来の現実に」
きっと再生してくれる、と願いたい。
さわ
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