明後日の風
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2011年02月27日(日) chaoticな空間の中で

 旭川盆地には雪原が広がっている。
 2月末とは言え、北海道はまだまだ冬。薄暗い雪雲に覆われ、春はまだまだ遠い。
 北海道最高峰の旭岳の麓、旭岳温泉。湧駒別(ゆこまんべつ)温泉という旧来の「音」が好きで、僕は常々、意図的にこの名称で呼ぶことにしているのだが、雪深さは旭川盆地の平原の比ではない。雪の壁の中に道路は続き、宿が点在しているのだ。
 全ての音を雪の壁が遮断しあるいは吸収をしていく中、天井の高い大きな浴場に「カーン」という檜の風呂桶の音と、注ぎ込まれる湯の形容しがたい緩やかな音だけが響いている。温泉の湯気も音を出しているのではないか、と思われるほどの、微妙な間、がこの空間に充満している。

 この音と間の絶妙な混濁。
 この、秩序あるchaoticな事象の中に身を委ねている、自然と、混沌としている頭の中が整理されてくるように感じるのだ。cahoticなのだから、そこに一定の秩序がある、と言えばそうなのだろうけれど、1年間の整理と銘打って、冬の雪の時期、東京からこの温泉場まで足を運ぶ一番の理由が、ここにある。


さわ