明後日の風
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常磐線新地駅。
今回の東日本大震災の津波で、普通電車もろとも流され、その姿が伝えられた。
昨年の夏、僕は、常磐線各駅停車相馬行、から降り立った。 駅前には小さなロータリーがあり、どこの駅にも必ずあるブロック造りの小さなトイレと、ブーンという音を立てて突っ立っている自動販売機があるくらいの、とてものどかでホッとできる無人駅だった。
仙台行きの電車が来るまで、少しばかり駅前散策をした。 小さな橋がかかっている川を渡り、細いメインストリートが延びている。とは言っても少しばかり民家がある程度で、駅の駐輪場らしい預かり所がいくつかあった。
とことこと歩いて、夕方の西日の暑さに目をしょぼしょぼさせながら、汗を拭って往復する。 「いいよな、ここ」 なんかいい気分にさせてくれるところだった。
が、しかし、写真で見た新地駅は凄まじいものだった。 面影を残すのは、ブロック造りゆえに耐えられたのであろうトイレと、僕がザックをおいて列車を待ったプラットフォームの残骸のみだ。 このギャップに声を失う。
あの、じっとりとした夏、に戻れるのはいつだろうか。あのメインストリートはどうなったのか、そして、人々は逃げられたのだろうか、思い起こすことは数知れない。
さわ
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