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ひびたわ。 INDEX|past|will
体を横にして、瞳を閉じても、眠れるわけはありませんでした。 頭がどくどくどくどくしてました。 ずーっと、わーん、って耳鳴りがしてました。 脳裏に浮かぶのは、ベッドから抱き上げたときの、3号。 私の腕の中で、ぐったりしていた3号。 ついさっきそこで人工呼吸してたときの3号。 苦しかった? 苦しかった? 全身に、震えが走るような感覚で、 とても目をとじて横になってなんていられませんでした。 視界を閉じると、記憶とイマジネーションが暴走をはじめます。 心臓が、ばくばくいいはじめます。 私は起き上がると主人が仕事をしている近くに膝を抱えて座りました。 でも、駄目でした。 目を開けていても、脳内の暴走は止まりませんでした。 感情の、制御が利かなくなってきました。 自分を抱きしめて、こらえようとしたけど駄目でした。 涙が、あふれてきました。 あの子がいない。いないんだ。私が気づいてやらなかったから。 あの子が、あの子を、あの子を・・・ 私が、私が、私が・・・・ 体中が、なんともいえないような感覚に襲われていました。 全身を、かきむしりたくなるような、切り刻みたくなるような。 血液が、沸騰するような。 寒いんだか、熱いんだか、わけがわからないけど、全身鳥肌が立ちました。 体中の臓器を、引きずり出してしまいたくなるような感触。 床に突っ伏して、泣きました。 主人が背をさすって、声をかけてくれていたけど どんどん自分がおかしくなっていくのがわかりました。 自分の意思も、感情も、体も、何一つ思い通りにならない。 壊れる、と思いました。 頭の血管が、音を立ててちぎれそうな気がして。 気が狂うって、こういうことなのかと思いました。 壊れる、壊れる、壊れる。。。。っ 感情の波が、津波のように押し寄せてきます。 精神が、限界点に向けて、暴走していくような、歯止めの聞かない感覚。 床に頭と顔を摩り付けて、わあわあ泣きました。 涙も、鼻水も、唾液さえも勝手に流れ、床を、私の手を汚していました。 今までだって、胸が張り裂けそうとか、 死んでしまいたいだとか、それなりに思ったことはあるけれど こんなのは、初めてでした。 主人が、落ち着けって言ってるのはわかったけど 落ち着くってことがなんなのか、どうすればいいのかわかりませんでした。 大声で狂ったように泣いている私の声を聞きつけて さっき別室に引き込んだ義父母が起きてきました。 「ゆーきさん、ゆーきさん!」 「ゆーきさん、しっかりしな。子供二人まだいるんやで、 ゆーきさんがしっかりせんとあかんやろ?!」 主人と、義父母がかわるがわる声をかけてきました。 気が狂ったように泣き喚く私に、大声で声をかけてくれていました。 落ち着け、しっかりしろ、落ち着け、と。 皆に揺すぶられ、何度も揺すぶられ、 その現実の体の揺れで、感情の波が、少し退いた気がしました。 顔を、あげることが出来ました。 絶叫を、とめることが出来ました。 結局そのまま義母に引きずられるようにして、 さっきまで義父母がいた部屋へつれていかれました。 代わりに義父が、主人とリビングに残りました。 少しでも、寝なくちゃ駄目だと言われ、 義母と布団を並べて横になりました。 その頃には、少し落ち着いてきました。 義母とふたり、わざと関係ない話をしてました。 眠ることは、出来ませんでしたが。 またさっきのような感覚に襲われかかるので 必死で気持ちを分散させる努力をしてました。 壊れちゃいけない・・・ こんなときでも、朝は来るのですね。 眠れないまま、夜は、明けました。 義父母たちにお味噌汁を作りました。 二人は朝食を取りました。 私は何か食べると吐きそうだったので、食べませんでした。 主人は昨夜病院から帰ったあと無理やり詰め込んだ夕飯の残りを また無理やり胃に片付けていました。 子供たちは、昨夜遅かったので、まだぐっすりと寝ていました。 8時過ぎて、私の両親と妹がやって来ました。 玄関のドアを開くなり、母と妹は泣き出しました。 父は、顔をゆがめて涙をこらえていました。 悲しみというものは、空気の中に充満するのですね。 ドアをあけた瞬間に、なんともいえないものを感じたと あとで父が語っていました。 うちの両親が、義父母に向かって、手をついて謝っていました。 別に、私の両親が謝るようなことではないのですが。 ひとしきり、父母や妹と話し、泣き、 3号が帰ってくる前に帰省の準備をすることにしました。 着物の入っている箪笥から喪服を引っ張り出しました。 黒い帯、黒い草履・・・ 結婚するときに作ってもらったものですが、 まさかはじめて手を通すのが自分の娘の葬儀だなんて 夢にも思いませんでした。 読んでくださって本当にありがとうございます。 続きます。
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