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ひびたわ。 INDEX|past|will
茫然として、待合ロビーにへたり込んでいると 消防署員の方(でしょう、多分)が、住所氏名など、いくつか質問に来ました。 病院の受付の人が、保険証をもってますかと聞きに来て、 保険証を渡しました。 椅子に座る気力もないまま、床に座り込んでいました。 5分か10分ばかりたったでしょうか。 主人が、1号と2号の手をひいて正面玄関から入ってきました。 「どうなったんや?」 主人に一通りの説明をしました。 いや、したはずなのですが。。。あまりよく覚えていません。 ただ、ごめんなさいと何度も謝りました。 そして緊張が一瞬切れて、涙が出てきたことは覚えています。 主人は1号と2号に、廊下の突き当りの小児科の前で 置いてある本を読んでおいでと促しました。 二人は、普段から来慣れている病院でもあるため、 迷わず歩いていきました。 この時間の記憶が、かなり断片的です。 主人の言葉が、いくつか頭に残っています。 椅子に座る力のない私を、無理にでも椅子に座れと言い、 3号もがんばっているんだから、お前も辛くても座っていろと言い、 泣くな、泣くんなら助かってから喜んで泣けばいいと言い。 俺はあいつの笑顔しか浮かばないから、きっと助かるからと言い。 私も笑顔を思い浮かべようと必死になりました。 だけど浮かぶのはさっきベッドから抱き上げたときの顔。 人工呼吸を施していたときの顔。 私の腕の中でぐったりしていた・・・・・ 生きててさえいてくれればいい。 呼吸が止まっていて、脳に酸素が回らなかったなら、 障害が残るかもしれない。 でもそれでもいい。 なんでもいい。 あの子が生きてさえいてくれれば。 私の命なんかいくらでもあげるから。 助けて、助けて、お願い。 必死で必死で祈る脳裏の裏側で 駄目かもしれないという思いが同じくらい強く、湧き上がる。 救急車の中で、あの子の手、冷たくなっていった。 いくら人工呼吸をしても、反応がなかった。 1号が、やはり落ち着かないのか、こちらの様子を向こうからうかがっていました。 「おいで。こっち、おいで。祈ってあげて。助かるようにって、祈ってあげて」 よってきた1号を抱きしめて、自分自身に言い聞かせるように 彼に語りかけました。 看護婦さんが、あわただしく救急処置室から出入りしています。 主人が呼び止めて、様子を聞きました。 「厳しい、状態です」 私は、座ってもいられなくなりました。 一人ふらふらと、処置室のドアの近くに立ちました。 出入りした看護婦さんが、閉め忘れたドア。 入り口に下がっているカーテンが少し開いてしまっていて 中の様子が少し、見えました。 ぱくんぱくんぱくんぱくん。。 黒いゴムの丸いポンプのようなもので、空気を送り込んでるのが、見えました。 だめなのかも、しれない・・・・・ こんなに時間がたっても、まだ息を吹き返さないんだ・・・・ 1号と2号は、ロビーの椅子に主人と座っていました。 主人の会社の方が、来てくださっていて、子供たちに声をかけてくださっていました。 電話を受けたときのただならぬ気配に、後始末をしたあと来て下さったようでした。 (もっともこれは後で聞いたこと。社章で会社の方なのはわかっていたので 状況がわかってきてくださったのだろうとは思っていたものの、 挨拶をする気力すら、そのときの私にはなかった) 結局、最初に伝えてくださったのは、どなただったのか。 看護婦さんだったと、思います。 今先生が来ますから。おかあさん、座っていてください。 なるべく早く、お子さんに会えるようにしますから。 このようなことをおっしゃったように思います。 はっきりとした事実はおっしゃらず、でも私たちにはそれがどういうことか 痛いほどに、判りました。 そのあと、当直の先生だったのでしょう、処置をしてくださった先生から はっきりした説明がありました。 「残念ですが・・・1時間以上がんばったんですが・・ 肺や心臓にも直接管入れて、空気を送り込むようにしたんですが・・ 小児科の先生も駆けつけてくださったんですが・・ お力になれず、申し訳ありませんでした」 驚きよりも、やっぱり、やっぱり駄目だったのか・・・・という思いに 私は襲われていました。 主人は多分違ったでしょう。 わたしは、さっき、あまりにも反応のない3号を、この目で見てしまっていたから。 この手で、感じてしまっていたから。 「わかりました。。。ありがとうございました」 主人と私、二人とも、そういって頭を下げるのが精一杯でした。 主人と、抱き合って、泣きました。 ごめんなさい、ごめんなさいと言いながら、泣きました。 お前のせいじゃない、お前のせいじゃないと言いながら、主人も泣きました。 二人して、絶叫するように泣きました。 1号が、不安げに、私を見ていました。 「ごめんな、・・・ちゃん、死んでしもたんよ。ごめんな、許してな」 1号が、わっと涙をこぼしました。彼を抱きしめて泣きました。 「ごめんな、ごめんな、許してな」 うん、うんと、一所懸命うなずいてくれていました。 2号のことは正直よく覚えていません。 それでもこのただならぬ状況に、静かにしていた気がします・・・ 読んでくださってありがとうございます。 ごめんなさい、明日に続きます。
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