ひびたわ。
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2002年03月03日(日) SIDS〜娘が天に召された日��


〜初めていらしてくださった方へ〜

去る、2/21の夜、3号こと長女が翌日に1歳の誕生日を控えてSIDSでこの世を去りました。

これからしばらく、運命のその日と、その後について綴らせていただきます。

こういうことを詳細に綴るのは、反対の方もいらっしゃるでしょう。

しかし私は、私自身のために、綴らせていただきます。

事実の記憶を封印するでなく、表に出すことで

自分自身が立ち直る、術の一つにしたいと思います。

けしてお涙頂戴のつもりではなく、エゴに近いかもしれませんが。

語ることで、がんばろうとしてるんだと、

温かく見守っていただけるととてもありがたいです。

しかしかなり厳しい記憶ですし、日が浅いので生々しいです。

読むのは辛いという方はどうぞ、ご遠慮くださいませ。

というわけでしばらくの間、エンピツのジャンルは「苦悩・心」にさせていただきます。

3月1日の分からお読みいただけると、嬉しいです。

なお、この日記を読んでくださった方、特に小さな赤ちゃんをお持ちの方に

この日記を読んだことで、SIDSに関して、

過度に不安を抱かれるのは本意ではありません。

現在日本では2000人に一人の発症率、この数字が多いとも少ないとも申せませんが、

この日記をきっかけに、SIDSについて正しい知識と理解を深める

きっかけとしていただければ幸いに存じます。


SIDS家族の会http://www.sids.gr.jp/





廊下を、寝室へと向かいました。

「ばぶ、起こすの?」

(ばぶというのは3号のあだ名です。名前ももちろん呼んでましたが、
ばぶだのばぶこだのばぶちゃんだのと呼ぶことも多く、これも本人は
自分のことだとちゃんとわかっていました。)

1号が私のあとからついてきて、聞きました。

「もう起こさないとねー、お風呂遅くなるし」

寝室に入りながら、部屋のライトのスイッチを押し、明かりをつけました。


ぎくりと、しました。

姿が、見えなかったから。

いいえ、後になって思えば、動きが、なかったから。

声をかけながら歩いてくれば、

必ず彼女は聞こえて、泣くなり起き上がるなりしてるはず。

布団の中にもぐりこんでることは、今までも何度もありました。

寝返りも身動きも出来るようになってから自分で這ってもぐりこむことは

何度も何度もありました。

でも、もぐりこんでいても、目が覚めれば自分ではいでて起きてきた。

寝返りも出来ないような、月齢の低い赤ちゃんではない。

上手く出れなければぎゃあぎゃあわめく。

今日は、泣き声なんか、しなかった。



ばっ、と布団をめくりました。

3号は、うつぶせていました。

寝返りできるようになってからは、どうしてもうつぶせが好きらしく、

仰向けに寝せても、いつもうつぶせになってしまっていました。

でも。

ぴくりともしない。

抱き上げました。




体は熱かった。

40度を超える熱があるかのように。

なのに。

顔色は、白く、唇が、青ざめていた。

瞳は、閉じたまま。


「・・・ちゃん?!どうしたのっ!・・・ちゃんっ!!」

左手で抱きかかえたまま、彼女の頬を軽くたたきます。

反応が、ない。

胸に、耳を当てます。

口元に、頬を寄せます。

手首に、首筋に指をあて、脈を診ます。

反応が、ない。




全身の血が、体中から抜けていくような、

いいえ逆に、沸騰するような、

わけのわからない感覚が襲ってきましたが、

とにかく、リビングに走り、左腕にぐったりした彼女を抱えたまま

電話のプッシュボタンを押しました。

「119」

そう押したいのに、手が震え、気がはやって、

「1199」

と押してしまう。ディスプレイには1199と4文字並んでしまう。

生まれてはじめて、この番号を押しましたが、

こんなに押せないものだとは思いませんでした。


はやく、はやく、はやく。

落ち着け、落ち着かなきゃ、私がパニックになってどうする!


3度ばかり、押しなおして、やっと119にかけることが出来ました。

「はい、消防ですか、救急ですか」

「救急です」

わめきたくなるような気持ちを、必死でこらえて、

住所、名前と問われるままに答えていきます。

「どうされました」

「赤ちゃんが、布団かぶってて、息してないんですっ」

このようなことを叫ぶように言ったと思うのですが・・・

正直、はっきり記憶していません。

この電話をたたききるように切って、

次は主人に連絡しなくては、と、

短縮メモリの主人の携帯を探します。

うちの電話は短縮ナンバーをプッシュするのでなく

携帯でも一時期あった(今でもあるのでしょうか)

ジョグダイヤルのようなタイプの短縮電話帳です。

ディスプレイに主人の名前が出るまでダイアルを指で滑らすのですが

こちらも気が急いて通り越したりしてしまう。

時間にすれば、10数秒のことだったと思うのですが、とても長く感じました。

「はい?」

「アナタッ、・・・が、息してないのっ!」

「は!?」

「だからっ、・・・が息してないんやって!すぐ帰ってきてっ!

今救急車、呼んだからっ!」

絶叫しました。

主人の、わかったという声を聞き終わるまでに、電話を叩き切りました。


目の前にあった鞄から、財布と保険証を抜き出しました。

それと、マンションの鍵をつけてある携帯電話。

3号はぐったりとしています。呼んでも呼んでも、反応はありません。

ふ、と我にかえり3号を床に寝かせ、人工呼吸を試みました。

3号の小さな口を覆うように私の唇を重ね、

ふうーっ、と息を吹き込みました。

「くー」

小さな声が、3号の口から漏れました。

一瞬、呼吸が戻ったのかと思いました。

泣き声を、あげてくれたのかと。

でも、違いました。

吹き込んだ空気が、そのまま出てくるとき、

声帯かどこかを震わせるのでしょうか?

私には知識がないのでわかりませんが、

何度か息を吹き込むたびに、そのか細い泣き声のような「音」はするものの

それが、彼女が意識的に発する声でないことは、

ほかになんら反応のない彼女を見れば、辛くとも明らかでした。

3号の体はまだ、とても熱かった。

人差し指と、中指で、心臓マッサージもしてみました。

人工呼吸とマッサージを繰り返す私。

息を吹き込むたび、彼女の小さな胸が、空気で膨らむ。

なのに、呼気は、戻らない。


1号は、ただならぬ気配を感じていたようでじっと私と3号を見つめていたようです。

(1号の顔を見る余裕がなかったので、確認はしてません)

ただ、幼い2号は遊んでいるように見えたのでしょう、

ふざけて私にスライディングしてきました。

「お願い!やめて!・・・ちゃん、死にそうなんやって!!!」

そう口にしたことで、現実をさらに直視してしまいました。

3号の瞼を開いてみました。

瞳の焦点が、合っていない・・・


マッサージを繰り返し彼女の名前を呼びながら1号と2号に言い聞かせました。

「おかあさん、今から救急車で、・・・ちゃん連れて病院行くから。

すぐにお父さんが帰ってくるから、それまで二人で待ってて。

お願いだから、待っててね」

留守番の大嫌いな1号です。普段コンビニまで3分足らずで行って来ると言っても、

いい返事はなかなかしてくれません。

「わかった、待ってる。ちゃんと待ってる」

ただならぬ事態を、判ってくれているのでしょう。

言い終わらぬうちに、救急車のサイレンが聞こえてきました。

電話してから救急車がくるまで、多分実際は3分となかったと思います。

「ごめん、じゃ、お母さん行くから!」

そういって、3号を抱えて玄関から走り出ました。

「わかった、鍵閉めて、待ってる!」

後ろで1号が叫ぶのが聞こえました。5歳の長男に、感謝しました。



マンションの前に、救急車が着いたところでした。

彼女を抱えたまま、飛び乗り救急車のベットに寝かせました。

救急隊員の方が、人工呼吸を試みました。

「くー」

やはり泣き声のような声がもれて、救急隊の方も、泣いたと思ったようです。

でもそれが泣き声でないことは、私はわかっていました。

私は彼女の名前を呼びながら、必死で彼女の手を握っていました。

反対の手で、彼女の体をさすっていました。

まだ、彼女の体はぽかぽかと熱かったですが

握っている彼女の手が、少しずつ、少しずつ、冷たくなるのを感じました。


病院は、家の近所の病院でした。

1分足らずで着いたと思います。

(救急車を呼ぶより、走ってかつぎ込んだほうが多分、早かったのでしょうが、

そのときはそういう風に頭が回りませんでした)

救急処置室のベッドに寝かせられる3号。

スタッフの方の一人が私を見て

「あ、おかあさん、辛いから・・・こっち出て待っててください」

病院の待合室へ促されました。




誰もいない、夜の病院の待合ロビー。

私は、床に、へたり込みました。








ごめんなさい、明日に続きます。

読んでくださった方、ありがとうございます。


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