台風が熱を置いていった。 肌をじりじり焼く強い陽射しが照りつけ、おまけに湿度も高くて 耐えがたい暑さになった。 わたしの一番苦手な暑さ。 湿度さえ低ければ、大丈夫なのに――。
またイヤな事件が起きた。 これはこの時代が生んだ「寂しさの縮図」なのかも知れないと思った。 中学2年生の女の子が、5歳の男の子を5階から突き落としてしまった。 女の子はお母さんがマレーシアの人で、日本で生まれたのだけれど お父さん(日本人)の暴力がひどくて、一度マレーシアに帰ったんだそう。 でもそこでも虐待にあって、また日本へ逃れてきたのだって。 小学校に通うことになっても、周囲と溶け込めず、問題ばかり起こしては 補導されていたそう。 ほとんど通っていないから、卒業アルバムにも彼女の顔写真は載っていないのだそう。 そんなだから中学にも行っていない。 注意すればすぐにキレる。 先生を給食の牛乳瓶で殴ろうとしたりしたそう。 小学校で飼っていたウサギを殺して、面白がってみんなにみせたり、 死んで埋葬したハムスターを、友達に掘り返させて、反応を見て楽しんだりしていたという話。 彼女のこういう攻撃性は、助けてほしいという心の叫びの表れだったんじゃないのかな。
彼女には、やすらげる家庭も、包み込んでくれる愛情もなかったんだね。
母親と衝突してしまうから、保護してほしいと自分で児童保護施設に来ていたというから、何とか救ってあげられなかったのかな…と思ってしまう。 実の母親にさえ救いを求められず、たった独りで彷徨っていた少女。 孤独だよね…。孤独は苦しいよね。 言葉を教え、理解し、包んであげる存在の人がひとりでもいたら――。
落とされた男の子も、お母さんがパチンコをしている間、お小遣いをもらって ゲーセンで遊んでいたそうだ。 わたしも時々ゲーセンに行くんだけれど、小さな子がよく来てる。 ゲームやってると、横から親しげに話し掛けてくるんだよね。 「おばちゃん♪すごいねっ★」 相手してあげると、きれいな瞳を輝かせて、いろんな話をしてくるの。 帰ろうとすると、ひきとめるんだよね…。
突き落とした子も、落とされた子も、寂しい心を満たす場所がゲーセンで、 心を開く相手がゲームだけだったなんて…。 なんて哀れなんだろう。
この事件、犯罪は犯罪だ。 少女は罪を償わなくてはならない。 けれど周囲の大人は見て見ぬふりをするんじゃなくて、きちんと子供たちに向き合って行かなくてはならないと、考え直す必要があると思ってる。
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