観能雑感
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2006年01月25日(水) 銕仙会 青山能

銕仙会 青山能 銕仙会能楽研修所 PM6:30〜

 上演頻度の低い脇能。音取置鼓を聴く貴重な機会。
青山の舞台は何と4年振り。久し振りの青山能、敷かれている座布団の数が減ったようで、余裕をもって座れるようにした模様。以前は一段あたりに座布団が2列敷かれていて、かなり窮屈だった。正面席最後列に着席。
 体力気力ともに減退しており、ごく簡単に記述。

仕舞 『清経』クセ  浅井 文義

狂言 『仏師』
シテ 高澤 祐介
アド 三宅 右矩

 右矩師の台詞をタイミングが早いように感じた。観る側の胸中に劇中で起こっていることが浸透する前に次の台詞が始まってしまって、落ちづかず。これが間が悪いということか。

能 『白楽天』
シテ 山本 順之
ワキ 宝生 欣哉
ワキツレ 梅村 昌功、御厨 誠吾
アイ 三宅 近成
笛 松田 弘之(森) 小鼓 曽和 正博(幸) 大鼓 亀井 広忠(葛) 太鼓 大川 典良(春)
地頭 柴田 稔

 白楽天が勅命を受け日本を啓蒙しにやって来るが、住吉明神が追い返すという奇抜な着想の曲。ワキの登場は音取置鼓に続く半開口。真ノ次第も良いものだが、こちらはさらに浄化された緊張感のある空気に包まれた。白楽天に扮する欣哉師、正中立ち視線を動かすだけで、いざ船出せんという意気と広大な海原が広がってきた。  前シテの面は小尉。順之師のシテを観るのもまた随分久し振り。滋味のある謡は健在だが、どことなく空虚な印象。それは後シテの真之序之舞に到ってもも変らず。囃子もどことなくちぐはぐだった。太鼓方は、この面々に加わるのは大抜擢だと言える。経験を積む上では意義のある事だと思いつつ、せっかくの真之序之舞、別の人選で聴きたかったというのが偽らざる本音。音が無闇に重く、ノリ悪し。中入の折、打ち出した時からその重さが気になった。経験を無駄にせず精進していただきたい。尚、後シテ出立は金袷狩衣に紫大口。面は石王尉。
 結局、白楽天は海上に船を浮かべたまま、日本の国土を踏むことなく住吉明神が起した風で唐まで吹き流されてしまう。
 地謡は青山能の慣例で6人。中堅、若手の貴重な研鑽の場。健闘した。
 観る側の体調も思わしくなかったのは確かだが、全体として今ひとつとの印象は拭えず。

 終演後の能楽小講座は面について。脇能のため上演時間が長くなり、数分間の短いものであった。小早川師による尉面の説明。尉面の区別は難しいと常日頃思っているので興味深く拝見。小早川師の話す声は低く落ち着いていて、聴き易かった。


こぎつね丸